Re: 雪のなかのゆうれい
投稿者:あんず 投稿日時 2020/11/4 4:10
40年以上前、小学生の頃、このお話の入った本を読みました。夏休みで、丁度、石打の五十嵐橋に程近い関山地域に在る母の実家に帰省している時で、従兄が学校の図書室から借りて来た本を読ませて貰ったのをよく覚えています。新発田の屯田兵の幽霊話なども入った、新潟の怖い話を集めた本だったと思います。
お話の舞台が、長い休みの度に東京から帰る「おばあちゃんち」のすぐ近所の、よく遊びに行く魚野川に架かる一番近くの橋(夏休みの夜はカブトムシやクワガタを捕まえに行った電燈が立っていた)五十嵐橋のお話だったので、とても身近に感じて、お話の隅から隅までよくよく覚えています。元の毛塚が在った墓所(近隣の人々の先祖代々の墓)には、うちの御先祖様やおじいちゃんも眠っており、田舎の家からも窓を開けたらすぐに見える場所。そうですねぇ、35年くらい前までは、その田圃の真ん中に墓所がありましたが、その後は、石打丸山のゲレンデ、観光リフトの上の辺りに全て移転致しました。私の母方の先祖代々の墓も移転。毛塚も移転し、同じゲレンデ中腹の、地元では「尼寺」と呼ばれている墓所に今でも在ります。寺と言っても小さな庵で、住職などは最初から住んでいません。
お菊さんは髪の毛が長く邪魔で、当時は丸太の橋だった五十嵐橋は冬になると雪が降り積もり、髪の毛が邪魔で滑って、どうにも子供達が待つ家に帰る事が叶わない。居合わせた優しい和尚さんにお願いして髪を剃って貰いました。和尚さんも幽霊がやって来るのは1人では心細いので、村人の友人を鏡は後ろ側の仏壇の裏に居させて、本当に幽霊がやって来たという事の証拠ともしたそうです。髪を剃る時は剃っても剃ってもなかなか剃れず、最後にやっと剃れたら、全ての髪がスルスルっと一遍に消えたそうです。そしてすこしだけの髪を残して、お菊さんは成仏し、きっと、子供達が待つ橋の向こう側に在る家に向かったのだろうと。
子供の頃に読んだ話ですので、うろ覚えではありますが、今でも母の実家に寄る度に、五十嵐橋へ行く度に、ゲレンデ中腹の墓地へ参る度に(早くに亡くなった私の母のお骨もこちらに少しだけ分骨してあります。)、この切ないお話を思い出します。私には生まれ育った東京よりも大好きな大切な故郷の、大切なお話です。