昔、小さな村の小さな寺(闢雲寺、びゃくうんじ)に強盗が入った。強盗は、お経をあげている和尚に包丁を見せ、金を出すように脅した。
しかし、3年続きの飢饉により、この貧乏寺には金など全く無かった。寺中を探し回る強盗を手伝い、和尚も一緒になってあちこち探してみたが、結局一文も出てこなかった。あきらめた強盗は、貧乏寺に腹を立てながら手ぶらで闢雲寺を出て行った。
しばらく歩いていると、さっきの和尚が走って強盗を追いかけてきた。和尚は、「あれからまた探してみたら、三文も出てきたから」と、そのお金を強盗に差し出した。
強盗は、和尚の優しい心根に触れて久しぶりに温かい気持ちになった。そして、「もう二度と強盗はしない」と、心に誓った。
(紅子 2011-9-12 4:59)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 山口のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 山口のむかし話(各県のむかし話),山口県小学校教育研究会国語部,日本標準,1973年09月01日,原題「闢雲寺の強とう」,文「古堤八重子」 |
場所について | 泰雲寺(闢雲寺) |
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