このお話に投票する
  • 各お話への投票は一度だけにお願いします。
  • 評価は 1 から 10 までです。(1が最低、10が最高)
  • 客観的な評価をお願いします。点数が1か10のみだと順位付けの意味がありません。
  • サイト管理人は各お話に投票できません。
  

No.1227
ばさまときつね
婆さまとキツネ
高ヒット
放送回:0776-A  放送日:1990年12月15日(平成02年12月15日)
演出:若林常夫  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:若林常夫
青森県 ) 20558hit
婆さんと狐が一日おきに鶏の卵を食う話

むかしむかし、ある所に貧しい村があった。その村は豊作知らずの枯れ村(食い詰めた者がよその土地に逃げ出して人が減った村)で、それだけに、残った家には腹の据わった賢い者が多かったそうな。

そんな村に、これまた貧しい婆さま(ばさま)が一人で暮らしておった。婆さまは、何日も飯を食うとらん時でも、道を歩く時はしゃんと背筋を伸ばして歩くのが常じゃった。村人達も同じように貧しい暮らしをしておったが、そんな婆さまをとても心配しておった。

ある日、婆さまの家に親戚の兄さま(あんさま)がやってきて「卵を産まんようになった穀潰しじゃけん、つぶして食うてくれや。」と、雌鶏を置いて帰っていった。婆さまは「つぶして食うより、なんとか卵を産ませてそれを食おう。」と思い、雌鶏を飼うことにした。

婆さまは、納屋に巣を作ってやり、草の実や菜っ葉の切れ端をたくさん集めて雌鶏に食わせた。次の日の朝、雌鶏はでっかい卵を一つ産んでおった。婆さまは喜んで、卵を汁に入れて食べた。それは、命が蘇るようななんとも美味しい卵じゃった。

それから三日間、雌鶏は毎日卵を産んだ。ところが四日目の朝、巣から卵はなくなっており、納屋の周りにはキツネの足跡が一杯ついておった。「普通なら鶏を噛み殺して持っていくはずじゃ。卵だけ盗むキツネとは、おかしなことじゃ。」と、婆さまは納屋に隠れて見とどけることにした。そして、その日の夜、現れたキツネはやっぱり雌鶏には目もくれず、卵だけを盗んで食べておった。

それを見た婆さまは、村人達に「鶏を食うてしまえば一時は腹が一杯になるが、それまでじゃ。じゃが、卵を産ませてそれを取って食べれば、末長く力をつけることができる。あのキツネはおらと同じことを考えたじゃ。」と、笑いながら語った。

暮らしが厳しいと知恵がつく。
それは人間だけではなく、キツネもまた、生き延びるために知恵をつけておったのじゃった。それからというもの、婆さまとキツネは一日おきにかわりばんこで卵を食い、元気をつけたそうじゃ。そうして、雌鶏も一生懸命餌を食って、毎日卵を産み続けたということじゃ。

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2012-1-8 0:06 )


ナレーション常田富士男
出典青森県
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このページを印刷
追加情報
8.8000 8.80 (投票数 5) ⇒投票する
※掲載情報は 2012/1/8 2:36 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
現地関連情報
出典本調査 facebook
Twitter

オンライン状況

31 人のユーザが現在オンラインです。 (17 人のユーザが お話データベース を参照しています。)

新着コメント(コメント24件)