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No.0967
まるかのひとぼし
まるかの人星
高ヒット
放送回:0609-B  放送日:1987年08月01日(昭和62年08月01日)
演出:前田康成  文芸:沖島勲  美術:安藤ひろみ  作画:前田康成
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あらすじ

むかし、三河の興福寺という寺に一人の小坊さんがおった。顔のまんまるい、目のくりっとした可愛い小坊さんじゃったので、村人は 『まるか』 と呼んでそりゃあ可愛がっておった。

ところが、このまるかは大変な悪戯者で、蛙や小鳥を捕まえては悪戯ばっかりしておった。和尚は見かねて、殺生は絶対にならんと注意するのじゃが、まるかの悪戯は一向に収まらんかった。

そんなある日、和尚はまるかに蓮華寺に大切な文箱を届けるよう言いつけた。寺を出たまるかは、小高い山の木の下まで来ると、文箱を懐に入れて木に登って遊び始めた。夕方まで遊んでいたまるかは、懐の文箱が無くなっているのに気がついた。

夜になると、心配した和尚がまるかを探しにやってきた。和尚はまるかが寄り道して文箱を無くしたと知ると、すっかり怒って、懲らしめのために、まるかを木に縛り付けて帰ってしもうた。

翌朝、和尚がまるかを迎えに行くと、まるかは体中を藪蚊に刺されて死んでしまっておった。和尚は泣いて悔やんだが、死んでしまったまるかはもう生き返りはしない。

それから一年経った夏の夜こと。蓮華寺の近くの農家のおかみさんが庭で行水をつかっておったら、納屋の横から誰かが赤いほおずき提灯を下げて近づいてきた。子供の声で「蓮華寺に行くのじゃが、疲れたから休ませてくれ。」と言う。

そうして、その赤い火は楽しそうにおかみさんの周りをぐるぐる回り、「興福寺のまるか。和尚さんのお使いで、文箱を蓮華寺に届けにゃならんの。」と言って、ゆらゆら揺れながら暗い蓮華寺の森の方へ飛んでいったそうな。

その赤い火は人恋しいのか、ちょくちょく村人の前にも現れるようになった。それで村人はその火を 『まるかの人星』 と呼ぶようになった。

その火が姿を見せると、村人はその火に呼び掛けるそうじゃ。「まるかかぁ?」と声をかけてやると嬉しそうに夜空に登り、そして消えていくそうじゃ。

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2013-8-25 8:14)


ナレーション常田富士男
出典寺沢正美(未来社刊)より
出典詳細三河の民話(日本の民話65),寺沢正美,未来社,1978年04月10日,原題「まるかの人星」,採録地「安城市」,採集「寺沢美智恵」
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※掲載情報は 2013/8/25 9:12 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
8件表示 (全8件)
ひろし  投稿日時 2021/8/10 0:19
昔話と現在がリンクするのはロマンがありますね。
Perenna  投稿日時 2021/8/8 23:16
この昔話は、「ふるさとの民話1・愛知県の民話」にも収録されています。
「まるかの人星<現代民話・安城市>
明治のはじめごろのこと。安城の東のほうの古井という村に、保福寺(ほうふくじ)っていう、ちんこい寺があったげな。保福寺は、まるい丘の上にたっとった。このお寺に、まるい顔の、七つぐらいのこぞうさんがおったと。」と書かれています。
保福寺は、安城市古井町金蔵塚16に実在しており、巻末の解説にも「まるかの伝説をつたえる保福寺」として写真が載っています。
まるかがお使いに行かされた蓮華寺というのは、安城市内にはないみたいです。
ゲスト  投稿日時 2020/10/5 2:47
やぶ蚊が多い所に人を縛り付けるのは、
拷問の一種として有名です。
この和尚は極道?
昔ばなしの上位30位内位に入る外道ですね(^^;
Perenna  投稿日時 2020/8/22 0:02
未来社の「三河の民話」では興福寺ではなくて、芳福寺と書かれています。
芳福寺から蓮華寺まで行く途中、ちょうどあと半分くらいのところに小高い丘があって、山のてっぺんに高い杉の木が立っていた、とも書かれています。
まるかが、その杉の木に登って景色を眺めると「東の方にまがりくねって流れる矢作川が見えた。西の方にこんもりした森の中に、本証寺の大きな屋根が見えた。」とも書かれています。
この本証寺というのは、ひょっとしたら安城市野寺町にある本證寺(ほんしょうじ)なのではないでしょうか?
安城市には、芳福寺や蓮華寺という名前の寺はありませんね。
おそらく本證寺の近辺にかつてあった寺なのか、それとも架空の寺なのかもしれません。
華煌  投稿日時 2020/2/8 16:09
かわいそうなまるか。
未だに蓮華寺に行こうとしているのですね。
村人たちの対応は愛に溢れていますが、おしょうさまはどうしたのでしょう。
嘆いて葬ったその後は?
何も書かれていないのが、ずっと心の奥に刺さっています。
長い間、このお話を再見することができませんでした。
モチモチ寸  投稿日時 2018/4/21 17:53
この和尚は酷すぎる。
ゲスト  投稿日時 2017/10/8 21:35
まるか、かわいそうに、寂しいんでしょうね、、怖くない、かわいいなあ
ゲスト  投稿日時 2012/9/22 10:31
これはひどい!
子供のときみたのはショックだった
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