昔あるところに、二人の60歳のじいさんがいた。
一人の爺さんは独身で、体力が衰えていくわが身を悲観していて自殺したかった。もう一人のじいさんは、木綿問屋を成功させ結婚していていたが子供がいなかった。
このじいさんがそれぞれ、観音堂へ願掛けに行った。独り身の爺さんは、さくっと死ねるようにお願いした。木綿問屋のじいさんは、子供ができるようにお願いした。すると、独り身の爺さんの目の前に観音様が現れ、若返りのお札を5枚くれた。観音様は「お札を1枚飲むと20歳若返る、3枚飲むと生まれる前に戻れるので、つまり死ぬ」と言った。
死ねるとわかり、喜んでお札を2枚飲んだ爺さんは20歳になった。20歳になった爺さんは、木綿問屋の夫婦に不思議なお札の話をして聞かせた。しかし、お札の話を信じなかったため、木綿問屋の夫婦にもお札を1まいずつ飲ませてあげた。それぞれ20歳ずつ若返った様子を見ていた番頭さんも、若返りのお札が欲しくなり、最後の一枚を巡ってお札の取り合いが始まった。
その争いの中で、お札の端っこが少ーしだけ、ちぎれてしまった。それに気づかず、少しちぎれてたお札を急いで飲み込んだ20歳の爺さんは、生まれた直後の赤子になった。子供が欲しかった木綿問屋の夫婦の跡取りとして、赤子の爺さんは大切に育てられた。
(紅子 2011-2-11 22:30)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 青森県 |
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