昔あるところに、滅多に人の訪れることもない貧しい山寺がありました。寺の年老いた和尚さんは、可愛がっているトラ猫と一緒に居眠りばかりして暮らしていました。
そんなある日のこと、年老いたトラ猫が、「和尚さんにお世話になったお礼をしたい」と、言いだしました。人間の言葉を話しだした猫に和尚さんは驚きましたが、猫は気にせず話し続けました。「もうすぐ長者の一人娘が寿命で死ぬから、その葬式で娘の棺桶を空中に釣り上げる。そして、和尚さんがナムトラヤヤ、トラヤヤと声を掛ければ、それを合図に棺桶を下す。それで全てがうまくいく。」
しばらくするとトラ猫の言った通り、長者の一人娘が死んでしまいました。長者は立派な葬式をあげていましたが、式の途中で棺桶が空中に浮き上がりました。偉いお坊さんがお経を読んでもダメで、もうワラにもすがる思いで、山寺の和尚さんが呼ばれることになりました。
何食わぬ顔でやってきた山寺の和尚さんが、トラ猫から教えてもらった掛け声をかけると、棺桶はするすると下りてきました。この一件から、山寺の和尚さんはまるで生き仏のように崇められ、山寺へは多くの参詣の人々が訪れるようになりました。和尚さんは居眠りするヒマもなくなり、忙しい毎日を送ることになったそうです。
(紅子 2011-10-6 22:14)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第2集(DVD第7巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第6集(VHS第52巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第13巻-第062話(発刊日:1977年3月15日)/二見書房まんが日本昔ばなし第9巻-第35話(発刊日:2006年4月18日)/講談社テレビ名作えほん第019巻(発刊日:1978年1月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説には地名の明記はない |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
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