乗鞍岳のふもとの沢田という村にすむ正直者の炭焼きの長吉(ちょうきち)という若者がおりました。
ある日、夢に仙人が現れて「高山の“味噌買い橋”のたもとに立っておればよい話が聞ける」というのです。長吉は半信半疑だったものの、わざわざ夢に出てくるくらいなのだからと炭を売りにいくついでに高山の味噌屋の前にある“味噌買い橋”のたもとに立って待ってみました。(味噌買い橋:味噌屋の前にある橋だから)
しかし、誰かが話しかけてくれるわけでもなく何日待っても「よい話」は聞けずじまいでした。やはり、ただの夢だったのかと思い始めた5日目になって、とうとう味噌屋の主人が「何日も突っ立って一体どうしたのだ?」と話しかけてきました。
事情を聞いた味噌屋の主人は「馬鹿正直に夢などを信じるものではない」と大笑いしました。「でも仙人が教えてくれた夢だ」と長吉が反論すると、味噌屋の主人は「ならば言うが、わしも仙人が夢に現れて“沢田の村の長吉という男の家の裏に立つ松の木の根元には大金が埋まっているぞ”と言うたが、わしは沢田の村なんぞ知らないし、そんなことは信じやしない」と言うではありませんか。
あぁまさしくこれが夢のお告げだったのだと愕然とした長吉は、味噌屋の主人への挨拶もそこそこに村へ帰った。そして家の裏の松の木の根元を掘り返すと、そこには話のとおりに大金が埋まっていた。夢を正直に信じた長吉は大金を手に入れて裕福に暮らしたのだった。
(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-6-15 13:58 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第5集(DVD第25巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第5集(VHS第43巻) |
場所について | 飛騨の乗鞍山の西にある沢上谷(そうれたに)周辺 |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第13巻-第063話(発刊日:1977年3月15日)/童音社BOX絵本_第64巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/講談社テレビ名作えほん第019巻(発刊日:1978年1月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「岐阜県の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(童音社編集部)によると「岐阜県の昔ばなし」 |
講談社の300より | 書籍によると「岐阜県のお話」 |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「岐阜地方の昔ばなし」 |
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