放送回 | No.0091(0055-B) |
放送日 | 1976年10月23日(昭和51年10月23日) |
出典 | (表記なし) |
クレジット | 演出:漉田実 文芸:漉田実 美術:下道一範 作画:上口照人 |
ナレーション | 市原悦子 |
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乗鞍岳のふもとの沢田という村にすむ正直者の炭焼きの長吉(ちょうきち)という若者がおりました。
ある日、夢に仙人が現れて「高山の“味噌買い橋”のたもとに立っておればよい話が聞ける」というのです。長吉は半信半疑だったものの、わざわざ夢に出てくるくらいなのだからと炭を売りにいくついでに高山の味噌屋の前にある“味噌買い橋”のたもとに立って待ってみました。(味噌買い橋:味噌屋の前にある橋だから)
しかし、誰かが話しかけてくれるわけでもなく何日待っても「よい話」は聞けずじまいでした。やはり、ただの夢だったのかと思い始めた5日目になって、とうとう味噌屋の主人が「何日も突っ立って一体どうしたのだ?」と話しかけてきました。
事情を聞いた味噌屋の主人は「馬鹿正直に夢などを信じるものではない」と大笑いしました。「でも仙人が教えてくれた夢だ」と長吉が反論すると、味噌屋の主人は「ならば言うが、わしも仙人が夢に現れて“沢田の村の長吉という男の家の裏に立つ松の木の根元には大金が埋まっているぞ”と言うたが、わしは沢田の村なんぞ知らないし、そんなことは信じやしない」と言うではありませんか。
あぁまさしくこれが夢のお告げだったのだと愕然とした長吉は、味噌屋の主人への挨拶もそこそこに村へ帰った。そして家の裏の松の木の根元を掘り返すと、そこには話のとおりに大金が埋まっていた。夢を正直に信じた長吉は大金を手に入れて裕福に暮らしたのだった。
(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-6-15 13:58 )
地図:飛騨の乗鞍山の西にある沢上谷(そうれたに)周辺 |