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No.0866
だいじゃぐらのかいじょ
大蛇嵓の怪女
高ヒット
放送回:0544-B  放送日:1986年04月19日(昭和61年04月19日)
演出:三輪孝輝  文芸:沖島勲  美術:三輪孝輝  作画:三輪孝輝
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あらすじ

昔、三重県船津の村に、六兵衛(ろくべえ)という豪胆な男がおりました。この男、「さみしい」とか「怖い」とかといったものを今まで感じたこともなく、大変肝の座った男でした。

ある時、六兵衛は村長に漁師の網に必要な「しなの木の皮」を取りに行ってもらいたいという依頼を受けました。六兵衛は「明日にでも一人で大台ケ原の山奥の「大蛇嵓」まで行く」と言い、村人達は大台ケ原の山に一人で入れるなんて六兵衛くらいのものだと言い合いました。六兵衛は「化け物が出たら濁酒(どぶろく)の呑み比べでもしてやりますわ」と豪胆に笑うのだった。

翌朝早く、山に向かった六兵衛は山の神にまずお参りをして、それから山に入りました。
大蛇くらに着くとすぐに小屋を立てて、次の日から作業を始め、沢山の「しなの木の皮」を手に入れることができました。

その晩、気を良くした六兵衛が濁酒を呑みながら食事をとっていると、突然、大柄な鋭い目つきの女が現れて「酒をおくれ」という。六兵衛はその女のなんとも言えぬ迫力に押され、何も言うこともできず、勝手に手が動いて女に酒を差し出してしまいました。

大柄な女が酒をぐいぐいと飲んでいると、後からもう一人大柄な女が現れて、最初に現れた女を鋭い目で睨みつけ始めました。そして目配せで小屋の外に出るように合図すると、その女に槍で切りつけたのです。切りつけられた女は大蛇の正体を現して、後からきた女を飲み込もうと襲いかかってきました。すると、どこからか大柄な初老の髭の男性が現れて大蛇を斬り殺し、後からきた女を助けたのでした。

六兵衛はもう、ただ金縛りにあったように呆然としておりました。はっと顔を上げると初老の男性と後からきた女が目の前に立っていました。

女は「私は大台ケ原の山の神です。あの女は大蛇の化身でお前が難儀をしておったので助けに入りましたが、力が及ばなかったので弥山(ミセン)の山の神の力を借りて倒しました。もう大丈夫だから安心して仕事を続けるがよいぞ」と言い残し、平伏していた六兵衛が改めてお礼を言おうと顔を上げると、二人の神はもうどこにいませんでした。

こんな事があって、六兵衛は初めて「怖い」ということを覚え、それからは決して一人で大台ケ原の山に入ることはありませんでした。今も、大台ケ原の山に一人で入らない風習が残るのはこのためだそうです。

(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-6-24 23:48)


ナレーション市原悦子
出典花岡大学(角川書店刊)より
出典詳細奈良の伝説(日本の伝説13),花岡大学,角川書店,1976年12年10日,原題「大蛇ぐらの怪女」
場所について大台ケ原山
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地図:大台ケ原山
追加情報
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※掲載情報は 2012/6/25 5:49 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
ゲスト  投稿日時 2019/12/18 20:15
この話の個人的に重要だと思う点は、山に入る前に神にしっかりとお参りをしたことだと思います。
この話では六兵衛はとりわけひどい人という描写はないですが、昔話などではたまに「傍若無人で嫌われ者だけれど、神(もしくは仏)に祈る心を持っていたものがいざという時に助かる」という話を見るので……
神や仏にとって大事なのは、人々からの評判などよりもいかに神仏を信仰するかである、ということをこの話から感じました。
もみじ  投稿日時 2012/6/26 23:44
>大蛇の登場にあまり深い意味はないのかもしれません。

なるほど。そうかもしれないですね。
だって、呑み比べとかの話は村でしていたわけですから大蛇が知ってるわけもないですもんね。ただ純粋に餌としてみて近づいてきたのかもしれませんね(・ω・)

beniko  投稿日時 2012/6/26 15:40
原作を読んでみました。アニメと特に変わったところもなく、アニメは原作を忠実に再現しているといった感じでした。(二人の女が対決する様子は書かれていませんでしたが)

以下は紅子の感想ですが、
大蛇の登場にはあまり深い意味はないのかもしれません。(つまり理由1.かと思う)このお話で言いたいのは「山や自然をあなどるなかれ、自分の力を過信しすぎないように」という昔の人の戒め、と紅子は感じました。
もみじ  投稿日時 2012/6/25 0:15
この話、最初に見たときは、結局何が言いたかったのかよく分からないお話だなぁと思ったのですが、「怖いものなしだった男が、身の程を知った」「ただ、山の神にちゃんと挨拶していったので助けてもらえた」という話で良いのでしょうかね(・ω・;)

で、大蛇はなんで出てきたのか?

1、六兵衛を食べてやろうと思ったから
2、六兵衛の持ってる濁酒が欲しかったから
3、六兵衛が化け物が出たら呑み比べしてやると言ったので、挑戦しに来た→あとから食べるつもりだった

・・・(・ω・)3でしょうか?
もみじには、「街灯のない夜道でも一人で平気(・∀・)怖くないもん♪」といってウォーキングする女の先輩がいるのですが、
「違う意味で危ないから、やめてください」と言っています。(´・ω・`)、
今は山じゃなくても一人歩きは危険ですよね…。
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