No.0836
おさかべひめ
刑部姫
高ヒット
放送回:0526-B  放送日:1985年12月14日(昭和60年12月14日)
演出:なべしまよしつぐ  文芸:沖島勲  美術:なべしまよしつぐ  作画:なべしまよしつぐ
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姫路城の天守閣に隠れ住む奇怪な姫神の話

昔、秋の冷たい雨が吹きつける夜の姫路城で、宿直(とのい:夜間の勤務)の侍達がこの城の天守閣に住むという妖怪の噂話を始めた。そこで噂を確かめようと度胸試しに一人で天守閣に上る者はいないかという話になったが、皆怖じ気づき誰も行こうとはしなかった。

すると今までの話を聞いていた森田図書(もりたずしょ)という小姓(雑用を務める武家の少年)が自分が行くと言い出し、宿直の侍達を後にすると階段を上りたった一人で暗い天守閣に向かっていった。

天守閣では城の主を恐れ三階より上は誰も上った事がなかったが、図書は四階、五階、六階をも通り過ぎると主の妖怪が住むという七階の戸口まで来たのであった。しかし図書が扉を開け部屋に入った途端急に扉が閉まり、図書は暗闇の中に閉じ込められてしまう。

そうしてどこからともなく火の玉が飛び交い、歳の頃は三四、五で肌の色は青白く、目は釣り上がり髪は長く背の高い女が現れた。女は図書に何故ここに来たのかを問うと、図書は包み隠さず宿直の間の出来事を述べ、自ら名乗り出てここへ来た事を話した。

女は図書の勇気に感心し、確かに行った証拠として持っていくがいいと図書に引き千切られた兜の錣(しころ:後頭部を保護する部分)を渡した。そしてここは人間の来る所ではないため決して二度と来てはならないと念を押すと図書を階段口まで吹き飛ばした。

次の日、この話が殿様の耳に入り早速図書が呼ばれ錣を差し出した所、それは殿様が宝として宝物庫に閉まっていた兜の錣である事が分かり、殿様は天守閣の主の噂が本当であった事を確信した。

その天守閣の主は「刑部姫(おさかべひめ)」と呼ばれる姫神で、遠い神々の昔からこの地に住む国津神(天皇家の祖先が日本に降り立つ前からいた古い神)だったといわれている。

(投稿者: お伽切草  投稿日時 2013-8-19 13:00 )


参考URL(1)
http://tephras.blog21.fc2.com/blog-entry-11.html
参考URL(2)
http://mouryou.ifdef.jp/100wa-mi/osakabe.htm
ナレーション常田富士男
出典松谷みよ子(講談社刊)より
出典詳細日本の伝説5(松谷みよ子のむかしむかし10),松谷みよ子,講談社,1973年11月20日,原題「刑部姫」,採録地「兵庫県」
備考採録地は転載された本(日本の伝説上巻,松谷みよ子,講談社,1975年5月15日)で確認
場所について姫路城
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地図:姫路城
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※掲載情報は 2013/8/19 17:46 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
10件表示 (全10件)
ゲスト  投稿日時 2020/8/23 9:10
一番若い図書より年上の侍たち、なっさけねーwww
カケス  投稿日時 2018/3/31 19:54
今の姫路城は世界中から観光客が訪れ、多くの人々で毎日賑わっています。「ここは人間の来るところではない」と言っていた刑部姫ですが、現在の姫路城の状況をどう思っているのでしょうかね。聞いてみたくなってしまいます。
TOSHI  投稿日時 2016/1/26 4:26
城の中を進んでいるときは気味が悪いが、刑部姫自身はお土産をくれたりと優しいね。
きっと、図書の勇気にアッパレと思ったんだね
ゲスト  投稿日時 2015/9/29 19:41
まあ今さらなレスだけど、
天守閣は物見櫓(戦いの時の見張り台)兼城の象徴であり、普段の生活の場じゃないからね
そうとばかりもいえないケース(まさにこの姫路城天守に生活のための設備があった)もあるけど、
その場合でも最上階に住むのはありえん。住んだとしてもこの話のようにせいぜい3階くらいまでだろう
勿論理由は刑部姫様を恐れてではなく、生活するのに不便だからに他ならない
マルコ  投稿日時 2013/8/24 18:39
怖い話キター!!これは怖い。?
殿様が最上階に住んでいないところが笑える・・・恐くて上に行-けないから下の階でがまんしてるっていう。
刑部姫の「持っていきゃれ」って上品な言葉ですね・・・。

森田図書? あっぱれじゃ!
マルコ  投稿日時 2012/5/4 9:06
のんのさん姫路城の詳しい情報知ってますね~。
マルコもそれは知りませんでした。情報ありがとうございます!!
のんの  投稿日時 2012/5/3 22:37
阪神大震災の時も、震災直後に管理責任者の方が天守閣に駆け上がって、地盤が傾いていないか確認するボールを置いたんです。
そうするとボールは転がる事無く、しっかりと地面に付いていたそうです。
刑部姫は平成の世でも姫路城を守っているんですね!!
マルコ  投稿日時 2012/5/3 0:25 | 最終変更
汐文社の「日本全国妖怪スポット」の本によると・・・姫路城の天守閣にある社は刑部姫の社みたいです。江戸時代の松浦静山さんが書いた「甲子夜話」によると、刑部姫は人間が嫌いなので、めったに姿を現さないそうで、年に一度だけ姫路城の殿様と会って城に起こる出来事を教えてくれるのだそうですよ。

別の話では、殿様が代替わりする時にきまって新しい殿様の前に刑部姫が現れ「この城は誰ものか?」と訊ねるそうで「貴方様のものです」と答えれば何事も無いのだが「ワシの物だ」などと答えてしまったら、その殿様には必ず祟りが起こったそうです・・・。

刑部姫怖いな~。そういえば・・・泉鏡花さんって小説家の「天守物語」のモデルが姫路城だったかな?
今では世界中の人が観光に訪れる姫路城は、一度も火事にあわず、壊されることの無かったお城。現在も残っているのも、きっと刑部姫が守っているからなんでしょうね・・・。
マルコビッチ  投稿日時 2011/11/29 17:35
ずいぶん前になりますが・・・姫路城に行った事があるんです。
姫路城の天守閣に小さな社があったんですが・・・もしかして・・・
刑部姫の社だったりするのでしょうかね・・・?
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