十和田湖にそれはそれは美しい女神がいました。女神は毎日の様に琴を奏で美しい声で歌を歌っていました。その声が男鹿に住む「赤神」の耳に入ってきました。「赤神」は痩身で横笛を吹く美青年でした。いつしか「赤神」と女神は仲良くなり「赤神」が吹く笛の音に合わせ、女神が歌い踊るという楽しい毎日を過ごしていました。
ところが、その歌声が今度は津軽?に住む「黒神」の耳に入ってきました。「黒神」は勇猛果敢な神で、いつも龍を従えて鋭い刀を持っていました。その「黒神」も女神を一目見るなり大好きになり「黒神」は得意の狩りで採った鯨や動物をお土産に持って女神を訪ねる様になります。女神も勇猛な「黒神」に次第に惹かれていきます。
しかし女神は悩みました。優しい「赤神」も好きだが勇猛な「黒神」も好き。女神はどうすれば良いのか分かりませんでした。その様子を見て、二人の神は決闘をする事になりました。「赤神」は鹿の大群を従え「黒神」は龍を従え、互いに力の限り闘います。しかし力の差は歴然。「赤神」は「黒神」の剣に傷つけられ、血を流し地面を赤く染めながら故郷の男鹿に逃げ帰りました。「黒神」は喜びました。「これで女神は俺のものだ」と。
しかし女神は傷付いた「赤神」を心配し、男鹿の赤神の処へ行ってしまいます。意外な展開にさすがの「黒神」もどうする事も出来ません。十和田湖を背に山の頂に座り、深い深い溜息をつき続けます。その溜息が物凄かったので、とうとう本州と蝦夷地は地面が避け、今の津軽海峡が出来たというお話です。
(投稿者: しんちゃん 投稿日時 2011-10-15 1:51 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
場所について | 十和田湖(青森)の女神 |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第19巻-第094話(発刊日:1977年9月20日)/講談社テレビ名作えほん第030巻(発刊日:1978年6月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「秋田県の昔ばなし」 |
講談社の300より | 書籍によると「東北地方のお話」 |
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