作蔵(さくぞう)は、多くの牛を飼っていて、えさのために毎日草を刈っては牛に食べさせてきた。作蔵の住む村の中では、「鳴滝には赤牛にのった仙人がいて、滝の麓には赤牛に食べさせるための草がある。その草を刈ると、仙人の祟りを受ける」という言い伝えがあり、だれも近寄らなかった。
ある日、作蔵はいつも通り草を刈っていたが、あと1束というところで草が無くなってしまった。すぐ目の前には鳴滝がある。「1束くらいいいだろう」と、鳴滝の麓に行き、草を刈った。すると、滝上から赤牛に乗った仙人が現れた。「私の姿を見たことを、誰にも話すな」と恐ろしい口調で仙人に言われ、作蔵はただただ怯えるばかり。
その後、作蔵は魂を抜かれたような状態になり、ふらふらと家に戻った。家でも我を失った状態で、妻に「どうしたの?」と聞かれ、仙人を見たことを話そうとするが、あまりの恐ろしさに「何でもねぇ…」と繰り返す。やがて、気力を完全に失った作蔵は、いつの間にか妻とともに姿を消してしまい、廃墟となった家だけが残った。
(投稿者: tom 投稿日時 2011-11-6 12:46 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | クレジット不明 |
場所について | 新見市菅生の鳴滝 |
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