昔ある所に、テゴイネどんという親切で働き者の男が母親と一緒に住んでいた。本当は稲造という名前だが、みんなはテゴイネどんと呼んでいた。
ある寒い日、テゴイネどんが野菜を売り歩いている間に、日がとっぷりと暮れてしまった。家に残してきた母親の事も気になったが、仕方なくテゴイネどんは一晩の宿を頼もうと明りの灯っていた家に立ち寄った。すると中から白髪のお婆さんが出てきて「爺さんが亡くなったので墓地に棺桶を運んで欲しい」と、頼むのだった。
困っているお婆さんの頼みを断りきれないテゴイネどんは、爺さんがはいった棺桶を背負って、墓地へ案内するお婆さんの後をついて歩いた。随分歩いたところでお婆さんの姿を見失ってしまったが、ふと気が付くとそこは自分の家の前だった。気味が悪かったがこわごわ棺桶の中を確認すると、爺さんの死体は大判小判に変わっていた。
こうしてお金持ちになった野菜売りのテゴイネどんは、広い畑を持つようになりやさしい嫁さんをもらって、幸せな毎日を暮らすようになった。
(紅子 2011-11-18 19:12)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 鹿児島県 |
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