No.0758
おおかみととら
狼と虎
高ヒット
放送回:正月特番  放送日:1985年01月02日(昭和60年01月02日)
演出:上口照人  文芸:沖島勲  美術:渡辺由美  作画:細谷秋夫
岩手県 ) 29521hit
あらすじ

昔、ある食料の豊かな山に、虎と唐獅子(からじし)が住んでいました。その山の下の荒れ地には、みじめなオオカミが住んでいました。

オオカミはいつもお腹を空かせ、虎の強烈な吠え声に迷惑していました。オオカミは、どうにかして虎を追い出し自分が豊かな山で暮らしたいと考え、友達のキツネに手助けを頼みました。

そこでキツネは、虎と唐獅子に「勝利したほうがこの土地に残る」という勝負を持ちかけました。虎&唐獅子は快諾し、さっそく三本勝負が始まりました。

知恵者のキツネは、吠え声対決もかけっこ勝負も虎に勝利し、最後の勝負「術比べ」もキツネの妖術で勝利しました。敗北を認めた虎と唐獅子は、約束通りこの山から去っていきました。

しかし、あくまでキツネの知恵により勝利を得たため、オオカミは虎たちのリベンジが恐ろしくなりました。結局、オオカミはこの食料豊かな土地を捨て、どこかへ逃げ出してしまいました。

こんなことがあってから、オオカミは虎と唐獅子の仕返しを恐れて、仲間たちと群れで暮らすようになりました。キツネはというと、今でも単独で行動しているそうです。

(紅子 2015/5/23 16:21)


ナレーション市原悦子
出典岩手県
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※掲載情報は 2015/5/23 16:21 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
3件表示 (全3件)
Perenna  投稿日時 2021/11/2 1:16
この昔話の原話らしいものを見つけました。
明治44年に出版された「日本全国国民童話」に収録された「獅子頭(ししがしら)」という話です。(コマ番号193/224)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1168188/193

「今は昔、吾が対馬の国の狐が、むかう岸の支那に渡り、あちらのきつい獣どもに逢って、遊んで居りました。」という書き出しで始まっています。
似たような話は、「ふるさとの民話9・静岡県の民話」にも「キツネとトラとシシ」という題で収録されています。
このむかし話でもオオカミは最初のほうで登場しますが、朝鮮のトラや天竺のシシと直接対決して勝利をおさめるのは、かしこくてずるがしこいキツネです(笑)
もともとの昔話は、キツネが外国の獣と対決して、獅子頭がどこから伝わってきたのかという、その由来が語られる動物競争譚だったらしいですね。
話の前置きとして、どのようにオオカミが付け加わったのか?
類話の分布とストーリーの改変について、もっと詳しく研究してみたいと思っています。
マツツン  投稿日時 2020/4/12 12:20
ラストの狐のポカーンとした顔がなんともいえませんね。
Perenna  投稿日時 2020/4/9 21:58
この昔話と似たような話が「若狭・越前の民話」(杉原丈夫・石崎直義共編、未来社)に収録されています。
福井県遠敷郡にお住いの松尾利一さんの語った「けものの力くらべ」という民話です。
「むかし唐の国のカラシシとトラが日本のオオカミに、力くらべの挑戦状を出しました。
オオカミはかねて、「トラは千里のやぶを越す」とか「カラシシがほえれば、けものたちの首がとぶ」という噂を聞いていたので恐れをなし、心配でたまりません。
ある日、賢いキツネがオオカミのところへやって来たところ、唐のけものから来た手紙のことを打ち明けられます。
日本中のけものが集まって話し合いましたが、誰も戦う自信がなく、オオカミに加勢をするものがいません。
そのときキツネが単独で、日本代表として唐の国に行くことを申し出ます。
キツネは持ち前の知恵を使って、かけっこ勝負でトラに勝利し、吠え声対決でも土の耳栓をしてカラシシに勝ちます。
キツネは、のどが裂けて死んだカラシシの首をおみやげにして、意気揚々と日本に帰ります。
けものたちは優勝のお祝いに、シシの首を手にもって踊りました。
これが日本の獅子舞いの始まりだということです。」

福井県と岩手県の昔話は細かいところで違いがありますが、どちらも同じ話が元になっていると思われます。
原話はいったいどのようなものだったのでしょうかね?
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