昔、京都の峰山(みねやま)の内記(ないき)に、六助という男が女房と一緒に暮らしていた。
六助は、とても働き者でとても親切好きな男だった。
ある日、小原境(おばらざかい)の峠でカヤを刈っていると、キツネの巣穴を見つけた。巣穴入り口のカヤが茂っていたので、風通しを良くしてあげようときれいに刈り取ってあげた。
その夜、六助が寝ているとキツネがやってきた。カヤを掃除してくれたお礼にと「伏見の富クジを買えば、絶対当たるよ」と教えてくれた。喜んだ六助は、クジを買う金を作るために戸や障子を売り払い、伏見に向かった。しかし、やっと着いた伏見の富クジ発売日は、まだまだ4か月も先の話だった。
手ぶらで帰った六助を見た女房は激怒したが、どうしようもない。その夜は、戸や障子がない北風がぴゅーぴゅー吹き込む家の中で、ガタガタ震えながら布団にくるまって寝た。そこへまたキツネがやって来た。「戸や障子がないと風通しが良いだろう」と言い捨てて去って行った。カヤを刈り取られた事に対する、キツネの復讐だったのだ。
悪気はなかったとはいえ、キツネに悪い事をしてしまった事を詫びて、六助は風よけのために巣穴の前に大きな石を置いてあげた。その石は小原と内記の境にあって「六助いなり」と呼ばれるようになった。
(紅子 2011-8-22 4:40)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 京都府 |
場所について | 内記(地図は適当) |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第090巻(発刊日:1987年12月) |
講談社の300より | 書籍によると「京都府のお話」 |
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