昔、鹿児島の桜島のふもとに、二人の兄弟がそれぞれの家で住んでいました。弟はなかなかの働き者で、朝も早くから仕事に精を出していました。
弟が朝の仕事を終える頃に兄は起きてきて、弟の作った美味しい大根汁を二人で食べるのでした。兄も自分で美味しい大根汁を作ってみたいと思い、翌日、弟から借りた鍋に大根を入れて、寝ながら様子をみていました。しかし、目が覚めて確認すると大根は鍋の中でプカプカ浮いてるだけでした。
兄が何度やっても美味しい大根汁ができないので、弟に作り方を聞いてみました。すると弟は、「朝早く起きて鍋に水と切った大根を入れる。そして火を焚きつけ大根を煮ている間に草切りをする。そうすると、ちょうど美味しく煮えた大根汁が出来上がる」と、教えてくれました。
翌朝、怠け者の兄は弟に言われた通りに早起きをして、鍋を火にかけている間に牛の餌の草切り仕事をしました。慣れない早起きの中で、一生懸命に草刈りをして家に戻って見ると、確かに美味しい大根汁が出来上がっていました。
それからの兄は、美味しい大根汁を作るため、村一番の働き者になりました。兄が飼っていた牛もお腹いっぱい餌を食べられるようになり、兄弟揃ってよい暮らしができるようになりました。
(紅子 2011-11-9 0:57)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 鹿児島のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 鹿児島のむかし話(各県のむかし話),鹿児島のむかし話研究会、鹿児島県小学校教育研究会国語部会,日本標準,1975年01月20日,原題「あにょどんのデコンじる」,文「中尾勇人」 |
場所について | 鹿児島の桜島(地図は適当) |
このお話の評価 | 9.05 (投票数 20) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧