昔、ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいました。その隣にもやっぱり爺さんと婆さんが住んでいて、いつも隣のお爺さん達の真似ばかりしていました。
ある日、お婆さんが山道を歩いていると、「とーつかかぁ、ひーつかかぁ」と大きな声がしました。怖がるお婆さんに、お爺さんは「だったら”とーつかばとーつけ、ひーつかばひーつけ”と言ってやれ」とアドバイスしました。
お婆さんがこわごわ山道を帰っていると、やっぱりあの声が聞こえてきました。お爺さんに言われた言葉を大声で叫んでみると、周囲の松や杉からヤニが飛んできてお婆さんの体にベタベタとくっつきました。お婆さんはヤニだらけになって半ベソかいていると、お爺さんが藁(わら)の火でヤニをあぶってくれました。すると、火にあぶられたヤニは小判に変わりました。
話を聞いた隣の爺さんと婆さんが、さっそく真似して叫んでみましたが、ヤニは飛んできませんでした。怒ったお婆さんがもう一度大声で叫ぶと、すごい顔をした山の神さまが現れ、大量のヤニを婆さんに降り注ぎました。
ヤニまみれになった隣の婆さんでしたが、このヤニが全部小判になるかと喜んだ爺さんは、さっそくヤニを火であぶりはじめました。するとヤニは小判になるどころか、婆さんに火が燃え移ってしまい、ついには家にまで燃え移り二人は命からがら逃げ出しました。
これに懲りて、隣の爺さんと婆さんはもう決して人の真似はしなくなりました。それからは四人仲良く幸せに暮らしました。
(紅子 2011-11-20 15:14)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 島根県 |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第075巻(発刊日:1987年4月) |
講談社の300より | 書籍によると「島根県のお話」 |
このお話の評価 | 7.50 (投票数 4) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧