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No.0669
けしこい、くろくちこい
ケシこい、クロクチこい
高ヒット
放送回:0420-B  放送日:1983年11月26日(昭和58年11月26日)
演出:前田康成  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:前田康成
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あらすじ

昔、種子島に一人の狩人が住んでいました。狩人は鉄砲の名人で、さらにケシとクロクチという優秀な猟犬を飼っていました。

ある時、狩人は2匹の猟犬を連れて山へ入りました。この日はどういうわけか、ウサギ一匹の獲物もとれず、狩人は意地になってどんどん山奥へ入っていきました。

やがて、一度も来たことがない薄暗い場所へやってきました。獲物を探していた犬たちは、そのうち姿が見えなくなりました。夕暮れになっても、ケシとクロクチは戻ってこず、仕方なく狩人は、その場に草履(足なかという特別な草履)を目印に置いて、山を下りました。

翌日になって、再び山へ入りましたが、ケシとクロクチは見つかりませんでした。狩人はあきらめきれず、何日も何日も山へ入っては犬を探し続けました。やがて、狩人の目はギラつき、どんどん体が弱っていきました。

村長は「もう犬は諦めるように」と忠告しましたが、狩人は毎日毎日「ケシこい!クロクチこーい!」と叫びながら、山の中をさ迷い歩きました。

ある日、偶然に犬を見失った場所へやってきました。すると、目印としておいてきた狩人の草履を大事にくわえて、二匹の犬が息絶えていました。狩人はあまりの悲しさに、そのまま寝込んでしまいました。

狩人は「意地になって山奥まで入り、草履など置いてきたために本当にすまない事をした」と、後悔しながら息を引き取りました。

それから、今までに見たこともない鳥が姿を現すようになりました。その鳴き声は「ケシコイ、クロクチコイ」と聞こえ、狩人の魂がのりうつったのだろうと噂しました。そして「山の中に草履を置いてくると、不吉なことが起こる」と言われるようになりました。

(紅子 2013-9-16 17:34)


ナレーション市原悦子
出典下野敏見(未来社刊)より
出典詳細種子島の民話 第二集(日本の民話34),下野敏見,未来社,1962年11月25日,原題「ケシこい、クロクチこい」,話者「西之表市の美座能就、中種子町の石堂生介、南種子町の椎木三男」
備考鳥の名はケシコ(フクロウ)
場所について山奥(出典本の簡易地図による)
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地図:山奥(出典本の簡易地図による)
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※掲載情報は 2013/9/16 17:34 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
ゲスト  投稿日時 2016/9/1 17:37
この話、なぜかゾッとするものがあります。
主の帰りをじっと待ち続けた2匹の忠犬の末路はひたすら哀れですが、
ラストに現れる謎の鳥の存在が妙に不気味に感じられます。
狩人たちが迷い込んだシダの谷間は、一種の異次元なのでしょうか・・。
pq  投稿日時 2015/12/24 12:41
雉も鳴かずば~と同じくらい、印象に残る話でした。じゃあどうすれば良かったの・・・。という後味の。
ゲスト  投稿日時 2015/8/12 14:17
このお話は初めて見た時、悲しすぎて泣いてしまった記憶があります。あのシダの場所は何を意味していたのでしょうか。
araya  投稿日時 2011/11/13 0:22
これは、よく原作として採用されている未来社の『種子島の民話』(下野敏見)に収められていますね。このタイトルは他では見当たりませんでした。ストーリーの方もほぼ上にある通りの内容が書かれていますので、文中の島は種子島でよろしいかと思います。また、西之表市・中種子町・南種子町で採録されたとのことで、種子島ではよく知られた物語のようです。

で、このままの話がまんが日本昔ばなしで放送されたと仮定するなら、「白べん黒べん」との類似は「2匹の猟犬が登場する」「2匹とも帰ってこなくなる」「猟師が探しに出かける」くらいで、その経緯を見ると内容的には異なるものになるかと。
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