昔ある村に、田吾作という働き者の百姓がいました。
息子が足を怪我して動けないので、いつもは二人でやる代かき(しろかき)を田吾作一人でやる事になりました。しかし、馬は思い通りに動いてくれずなかなか仕事がはかどらず困ってたところに、見知らぬ小僧さんがやってきて馬の鼻とりをやってくれる事になりました。
小僧さんは、陽気な唄を歌いながら上手に馬の手綱を引いてくれたので、田吾作は大助かり。次の日、田吾作が田植えをしていると、またあの小僧さんがやってきて田植えを手伝ってくれました。小僧さんの歌う田植え唄のおかげで、田植えは随分はかどりました。
やがて、夕方を告げる鐘が鳴り始めると、小僧さんは「大変だ!」と大慌てであぜ道を駆け出しました。すごい勢いで走っていた小僧さんがつまずき転んだので、田吾作が駆け寄ると、なんと小僧さんはお地蔵さんに姿を変えました。
きっと困っていた田吾作をみかねて、お地蔵さんが手伝ってくれたのでしょう。それから村人たちと力を合わせて、お地蔵さんの祠を建てて、いつまでも大切にしました。
(紅子 2012-3-15 6:01)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第1集(DVD第4巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第1集(VHS第4巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第19巻-第091話(発刊日:1977年9月20日)/国際情報社BOX絵本パート1-第008巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第15巻-第58話(発刊日:2006年9月19日)/講談社テレビ名作えほん第028巻(発刊日:1978年5月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説には地名の明記はない |
国際情報社の絵本より | お地蔵さんが姿をかえて農作業を手伝うという話は、全国各地にあります。これは、もちろん弘法大師信仰が基礎になっているもので、ある学者の調べによると、弘法大師伝説が北海道から鹿児島までに、二千七百ほどあるということからみても、相当数の”地蔵話”が各地にひろがっていることがわかります。田植え作業は、田に水を引く仕事、代かきの仕事、牛馬の鼻取りをする仕事、苗を植える仕事と、何段階にもわかれた、苦しい労働でしたが、それだけに、それぞれ、”水引き地蔵”、”代かき地蔵”などが拝まれてきたのも、農民信仰の深さと労働の苦しさをしのばせます。(宮城地方の昔ばなし) |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「宮城地方の昔ばなし」 |
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