昔、ある山里のはずれに小さな池があって、そのほとりには大小の二つの石がありました。この二つの石は、水を掛けるとハマグリのような模様がでるので「蛤石」と呼ばれていました。
この池に、孫と一緒に水を汲みに来るばあ様がいて、この蛤石を大切にしていました。野良仕事の合間をみては、いつも石に水をかけてあげていました。
そんなある夏の事。村には一粒の雨も降らず日照りが続き、村中総出で行った雨乞も全く効き目がなく、池や田畑がカラカラに乾きはじめました。ばあ様は、この日照りで石も不憫に思えて、わずかに残った池の水を石にかけてあげました。
すると、力ずくでも動かせない蛤石がグラグラと動きはじめ、ゴロンゴロンと転がり枯れかけた池の中に飛び込んでいきました。水にぬれた石にハマグリの模様が浮かび上がると、それと同時に空には黒雲がわき起こり、なんと雨が降りはじめました。雨は何日も降り続け、おかげで村の田畑はすっかり生き返り、池にも清らかな水が満々とたたえられました。
不思議な事に、この蛤石は雨を降らせた後、ちゃあんと元の場所に戻っていたそうです。それからもばあ様は暇さえあれば蛤石に水をやり、孫たちは石のまわりで戯れました。今でも、どこぞの池のほとりにこの二つの蛤石は並んであるそうです。
(紅子 2012-1-17 21:20)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
場所について | 飛騨市古川町高野の古川城跡にある蛤石か? |
講談社の300より | 書籍によると「岐阜県のお話」 |
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