昔、あるところにおじいさんとおばあさんが居た。おじいさんは、木で鳥を彫るのがとても上手だった。
ある日おじいさんは、木を切りに行った山の中で大変美しい鶴を見た。おじいさんはその姿を忘れられず、その晩から鶴を彫り始めた。夜も昼も忘れ幾日もかかって、とうとうおじいさんは大きく美しい真っ白な鶴を彫り上げた。それはおばあさんの目にも、まるで生きているかのように見えた。
おじいさんは鶴に乗ってみたくなった。「明日これに乗って飛んでみよう。」そう話すおじいさんに、突然鶴が「おじいさん、明日は風が吹くよ。」と言った。おばあさんはすっかり驚いてしまうが、おじいさんは気にもとめない様子だった。翌日、未だ前夜の鶴の言葉が気にかかるおばあさんをのこして、おじいさんは鶴に乗って大空に舞い上がった。
家や畑が、見る間に小さくなっていった。大空を思いのままに飛び回り、おじいさんはとてもいい気持ちだった。すると突然晴れていた空に真っ黒な雲が広がり、風が吹き始めた。鶴は飛び続けることができなくなり、おじいさんとともに森の松の木の上に落ちてしまった。
おじいさんは、家で待つおばあさんの元にはそれきり帰ってこなかった。今では、その松の木のある所を「鶴の屋敷」と呼んでいる。
(引用:狢工房サイト)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
備考 | 画像キャプチャは勝手に貉工房サイトより取ったもの。原作は九州太宰府に伝わる話で、またの名を「とおのこがの伝説」との事。(狢工房より) |
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