昔、能登半島の柴垣から滝谷に向かう道筋に、芝原将監(しばはらしょうげん)という領主の立派な屋敷があった。剛腕で強欲な芝原将監は、家来や領民からはたいそう恐れられていて、お百姓さんは朝から晩まで働かされていた。
この芝原将監には、わがままで贅沢放題の一人娘の姫君がいて、ある年の春、隣の国の若様の所へ嫁入りする事になった。芝原将監は、金に糸目はつけず豪華な品々を嫁入り道具に持たせ、花嫁行列の通る道には米をびっしり敷き詰める演出を行う事にした。
いよいよ姫君が嫁入りする日、芝原将監を先頭に、米を敷き詰めた道の上で嫁入り行列が始まった。ところが、坂の途中の狐塚に来た時、姫君は急に苦しみ出してそのままカゴの中で死んでしまった。一人娘を失ってすっかり元気をなくした芝原将監は、出家して法光(ほうこう)と名乗りやさしい領主となった。
やがて、狐塚近くの田んぼには米のとぎ汁のような白い水が出るようになった。この白い水が出る田んぼは「しろみずた」と呼ばれ、領主さまの名前をとった「芝原の坂」という事から「しびらの坂」と呼ばれるようになった屋敷前の道とともに今も残っている。
(紅子※講談社の決定版100より 2011-10-28 21:44)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
場所について | 芝原将監館跡(能登半島の柴垣) |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第093巻(発刊日:1988年1月) |
講談社の300より | 書籍によると「石川県のお話」 |
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