ある島に佐助という間の抜けた少年がいた。
佐助はまだ漁にでたことはなかったが、親方に頼み込んで食事の世話をする「かしき」として漁に連れて行って貰えることになった。かしきの仕事は大変で、他の漁師が寝静まったあとも佐助は一人で働いていた。佐助は決して食べ物を粗末にすることをせず、残った食べ物は「おいお、おあがり」と言って魚に食べさせていた。
それから何年もの月日が流れたが、佐助は相変わらず漁師としてでなく、かしきとして働いていた。ある日、また一人だけ夜遅くまで働いていると、波の音が消え、船の揺れも止まったので、不思議に思って甲板に出てみると、海の水がなくなって、見渡す限りの砂漠だった。砂漠は月の光に照らされてキラキラと輝いており、佐助は、この砂で鍋を研いたら綺麗になると思い、桶一杯に砂をつめて船に戻った。
翌日このことを人に話すが、誰も信じてくれず、昨日とってきた砂を見せようと船底に降りると、桶の中は砂金で一杯だった。親方は佐助の話を聞いて、これは神様が佐助に授けた物だから、みんな佐助のものだと言い、立派な長者となった。
その後も佐助は決して食べ物を粗末にすることはなかった。今でも、この島の人たちは、海に残り物を捨てるとき「おいお、おあがり。」と言う。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 5:38 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第2集(DVD第10巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第3集(VHS第28巻) |
場所について | 知多郡南知多町日間賀島 |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第9巻-第044話(発刊日:1976年11月10日)/童音社BOX絵本_第36巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/二見書房まんが日本昔ばなし第8巻-第32話(発刊日:2006年3月20日)/講談社テレビ名作えほん第006巻(発刊日:1977年8月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「愛知県の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「愛知県の昔ばなし」 |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「愛知地方の昔ばなし」 |
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