放送回 | No.0049(0028-A) |
放送日 | 1976年04月17日(昭和51年04月17日) |
出典 | (表記なし) |
クレジット | 演出:まるふしろう 文芸:沖島勲 美術:下道一範(サキスタジオ) 作画:高橋信也 |
ナレーション | 常田富士男 |
ある島に佐助という間の抜けた少年がいた。
佐助はまだ漁にでたことはなかったが、親方に頼み込んで食事の世話をする「かしき」として漁に連れて行って貰えることになった。かしきの仕事は大変で、他の漁師が寝静まったあとも佐助は一人で働いていた。佐助は決して食べ物を粗末にすることをせず、残った食べ物は「おいお、おあがり」と言って魚に食べさせていた。
それから何年もの月日が流れたが、佐助は相変わらず漁師としてでなく、かしきとして働いていた。ある日、また一人だけ夜遅くまで働いていると、波の音が消え、船の揺れも止まったので、不思議に思って甲板に出てみると、海の水がなくなって、見渡す限りの砂漠だった。砂漠は月の光に照らされてキラキラと輝いており、佐助は、この砂で鍋を研いたら綺麗になると思い、桶一杯に砂をつめて船に戻った。
翌日このことを人に話すが、誰も信じてくれず、昨日とってきた砂を見せようと船底に降りると、桶の中は砂金で一杯だった。親方は佐助の話を聞いて、これは神様が佐助に授けた物だから、みんな佐助のものだと言い、立派な長者となった。
その後も佐助は決して食べ物を粗末にすることはなかった。今でも、この島の人たちは、海に残り物を捨てるとき「おいお、おあがり。」と言う。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 5:38 )
地図:知多郡南知多町日間賀島 |