昔、福島県の仁王寺(におうじ)に、別当尊貞法印(べっとうそんじょうほういん)という、お坊さんがいました。このお坊さんはやることなすこと失敗ばかりで、いつも村人たちを笑わせていました。
例えば、善意の申し出を断りきれずに、逆方向に行く帰り馬の背に乗せられたり、
夜道を歩いていて頭に落ちてきた熟柿に驚き、寝込んでしまったり、
寝る前、雨音を自分の小便の音と聞きちがえ、朝まで便所に立っていたり。
こんな和尚さんでしたので、村人たちから親しまれていました。
ある春の日、お彼岸で檀家さん回りをしていた和尚さんは、お茶うけに「ふうきミソ」を出されました。(ふきのとうが入った味噌、ちょっと苦みのある春の香りたっぷりのふき味噌)見るのも嫌いなふうきミソでしたが、勧められるまま一気に飲み込んでしまいました。
その様子を見ていた檀家のおばあさんは、和尚さんの好物はふうき味噌だと勘違いして、村中に伝え回りました。和尚さんがどの檀家へ行ってもふうき味噌ばかり出てくるので、ついに和尚さんはふき味噌の食べすぎでぶっ倒れてしまいました。
この地方ではこの時の事を、「仁王別当ふきみそ」「仁王別当ふうきみそ」と言い伝え、和尚さんはいつまでも村人たちに親しまれたそうです。
(紅子 2011-8-28 19:06)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 福島県会津高田町 |
DVD情報 | DVD-BOX第4集(DVD第19巻) |
場所について | 仁王寺 |
本の情報 | 国際情報社BOX絵本パート2-第086巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第078巻(発刊日:1987年6月) |
講談社の300より | 書籍によると「福島県のお話」 |
このお話の評価 | 7.27 (投票数 11) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧