昔、志摩半島の村の沖合にある大王島(だいおうじま)に、だんだらぼっちという一つ目の大男がいました。
だんだらぼっちはたいへん力の強い大男で、いつも村の漁師たちが捕った魚を船ごと持って行ったり、米も俵ごと強奪していくのでした。困った村人たちが網元の家で対策を相談していると、頭のいい子供が名案を思いつきました。それは、だんだらぼっちより大きな「千人力の大男」をでっち上げ、だんだらぼっちを怖がらせようという作戦でした。
翌日、何も知らないだんだらぼっちは再び食べ物を探しに村にやって来て、大きなカゴと大きな魚のえさ袋を見つけました。このカゴは千人力の大男が使うタバコ入れで、えさ袋は千人力が着る着物だ、と村人が説明しました。
さらに、片方だけの巨大なワラジを見つけただんだらぼっちは「こんな大男がいるのではかなわない」と恐怖に震え、ワラジを取りに戻ってくる前にと大急ぎで大王島へ逃げ帰ってしまいました。その後は、もう二度と村にはやってこなかったそうです。
(紅子 2012-2-29 0:11)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第1集(DVD第3巻) |
場所について | 波切神社(わらじ祭り) |
本の情報 | 国際情報社BOX絵本パート2-第063巻(発刊日:1980年かも)/講談社デラックス版まんが日本昔ばなし第32巻(絵本発刊日:1985年06月15日)/講談社テレビ名作えほん第061巻(発刊日:1986年9月) |
絵本の解説 | だんだらぼっちとは巨人のことで、これは三重県大王町に伝わるだんだらぼっちのお話です。大王島には一つ目の恐ろしいだんだらぼっちが住んでいて、たびたび近くの村に現れては魚やお米をたくさん持って行ってしまうので、村では大騒ぎ。そこで大きなわらじを作って、だんだらぼっちよりもっと大きな男がいるように見せかけて退散させたということです。大王島にある大男の足あとのような穴からの連想によるのでしょう。毎年九月初旬、大王町の波切神社では大きなわらじをひいてまわる「わらじ曳き祭り」がいまでも行われています。(三重地方のお話)(講談社のデラックス版絵本より) |
講談社の300より | 書籍によると「三重県のお話」 |
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