京のはずれに安国寺というお寺があり、一休という頓知のきく小坊主がいた。寺の和尚は甘いものが大好きでいつも一人でこっそり水飴を舐めており、これは子どもが舐めると毒だと嘘を言っていた。
ある日、和尚さんが出かけたあとに、みんなで水飴を全部舐めてしまう。和尚さんが帰ってくると、一休は、「大切な硯を割ってしまったので死のうと思って毒を食べたがまだ死ねない」と言い、和尚さんを呆れさせた。
またある日、太平という男が寺に碁を打ちにくるのを追い払おうと、いつも太平が毛皮のちゃんちゃんこを身につけていることから、「ケモノの皮をつけた人は寺に入ってはいけない。」と張り紙をする。しかし太平は「寺にある太鼓もケモノの皮ではないか。」と言うと、一休はそれならとバチを持って太平を叩こうと追い回した。
太平はなんとか頓知で仕返ししてやろうと、和尚さんと一休を家に招き、家の前の橋に「このはしわたらないでください。」と立て札をたてるも、一休は橋の真ん中を渡り、太平を感心させた。
やがて一休の頓知は将軍の耳にも届き、お城に呼ばれ、将軍から、屏風の虎が夜になると飛び出して悪さをするから縛って欲しいと言われる。そこで一休は「縛るために絵から虎を追い出して下さい。」と言う。将軍が「絵に描いた虎を追い出せると思うか?」と問うと、「絵に描いた虎を縛れると思うか?」と答え、将軍を感服させた。
その後一休は一休禅師という偉いお坊さんになった。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:39 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第1集(DVD第5巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第1集(VHS第6巻) |
場所について | 安国寺は現在の四条大宮駅北西(中京区錦大宮)にあった |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第2巻-第006話(発刊日:1976年5月31日)/童音社BOX絵本_第45巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第003巻(発刊日:1980年かも)/講談社デラックス版まんが日本昔ばなし第06巻(絵本発刊日:1984年10月15日)/講談社テレビ名作えほん第003巻(発刊日:1977年5月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説には地名の明記はない |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「京都の昔ばなし」 |
国際情報社の絵本より | 日本には、肥後(熊本県)の”彦市とんち話”や豊後(大分県)の”吉四六さんのとんち話”などがあって、よく知られています。これらのとんち話は、土の匂いのする内容が多く、一方、この”一休さんのとんち話”は、一種の正義感に裏打ちされた、知的なとんち話になっています。一休さんは、室町時代の禅宗のお坊さんで、後小松天皇の血筋をひくといわれ、どのような権威に対しても少しも恐れず、反俗精神に徹した生き方をつらぬきとおしたといわれています。一休さんのとんち話は、江戸の元禄元年に出された『一休咄』がもとになり、実話でも実録でもありませんが、一休さんの生き方は、よく表現されているといってよいでしょう。(地名の明記なし) |
講談社のデラックス版絵本より | 京都に生まれた一休さんは、幼くして安国寺の小僧となり、厳しい修行をつんだ室町時代の禅宗のお坊さんです。後小松天皇の皇子ともいわれ、乱れた時代にあって権力にへつらうことなく、「とんち」を使って人々に教えを広めたといわれています。この一休さんのとんち話は、江戸の元禄時代に出された「一休ばなし」がもとになっています。小さな子供が知恵を働かせ、大人の矛盾やあやまりを指摘する小気味よさに、当時の人々も、大きな拍手を送ったことでしょう。(近畿地方の昔ばなし) |
講談社の300より | 書籍によると「京都府のお話」 |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「一休咄の昔ばなし」 |
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