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No.0286
りゅうぐうからきたよめ
竜宮からきた嫁
高ヒット
放送回:0178-B  放送日:1979年03月24日(昭和54年03月24日)
演出:福原悠一  文芸:芦沢俊郎  美術:水野尾純一  作画:福原悠一
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あらすじ

昔、酒匂川(さかわがわ)の海に近いほとりに正助(しょうすけ)というネギ売りの男が住んでいた。この正助という男、馬鹿が付くほどの正直者だったので、商売の方は下手で、その日食っていくのもままならなかった。

今日もネギはあまり売れず、「こう売れないと嫁も貰えねえな。」と一人つぶやいていると、川の中から亀が正助を呼ぶ。「よいところへご案内しましょう。私の背中に乗って目をつぶってください。」亀は、正助を海底の龍宮に連れて行った。

竜宮に着くと、正助は竜王のもとに案内された。地上の人間は嘘つきが多い中で、正助の馬鹿正直なところを竜王は気に入り、正助を竜宮に招待したのだった。正助はそこでは色々ともてなされて、竜王から竜宮の宝物の中から何でも好きな物を持っていってよいと言われた。正助は宝物などは欲しくなく、嫁さんが欲しいと竜王に言った。すると、竜王は竜宮の美しい娘を一人、正助の嫁に取らせた。

キサという名のこの美しい娘は正助と村に帰り、夫婦睦まじく暮らしていた。正助は相変わらずの貧乏暮らしだったが、不思議なことに、キサが来てから空っぽの米びつに米がたくさん入っていたり、キサが掃除をすると床も柱も新品になっていたりした。ところが、キサの美しさを耳にした当時の相模の国司(くにつかさ)は、彼女を自分のものにしようとたくらんだ。

国司は手下の役人に正助を捕らえさせ、館にしょっ引いた。「お前は最近、暮らし向きが急によくなった。悪いことをしてるにちがいない。」と言いがかりをつけ、「罰として、白ごまを黒船に山盛り一杯と、黒ごまを白船に山盛り一杯とを直ちに差し出せ。できなければお前の嫁を召し取る。」と言った。

正直な正助は帰ってからキサにありのままにこのことを話した。するとキサは、浜辺に出て海に向かってパンパンと手を打った。すると白ごまを一杯に積んだ黒船、黒ごまを一杯に積んだ白船が現れた。

国司はこれを見て驚いたが、それでもキサのことを諦めず、再び正助を呼び出すと、また難題を吹っかけた。「ワシは物に驚かん男だ。そのワシを「これはこれは」と言わせるような宝を持って来い。それができないときは、罰としてお前の嫁を召し取る。」

これを聞いたキサは小箱をひとつ取り出した。「これは“これはこれは”という小箱です。この中に私が入りますから、それを国司に差し出してください。」正助は、もしキサがこの小箱の中に入ったら、もう二度と会えなくなることを悟り、思いとどまるように言った。しかし、キサは泣きながら言う「私はこの1年間幸せでした。正助さんのことはきっと忘れません。」そしてキサは、煙のようになって自らその中に入ってしまった。正助はその箱を国司のところへ持って行った。

国司が小箱を開けてみると、中から白蛇が現れた。白蛇は驚いている国司の首に巻きつき、国司を絞め殺してしまった。白蛇は正助に向かって「あなた、さようなら。」と言い残すと、海へ去って行った。悪い国司は退治されたが、正助がその後キサに会えることは二度となかった。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-7-2 9:05 )


ナレーション常田富士男
出典神奈川の伝説(角川書店刊)より
出典詳細神奈川の伝説(日本の伝説20),森比左志,角川書店,1977年7年10日,原題「竜宮からきた嫁(三)」
場所について小田原市酒匂川の河口付近(地図は適当)
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地図:小田原市酒匂川の河口付近(地図は適当)
追加情報
本の情報国際情報社BOX絵本パート1-第042巻(発刊日:1980年かも)
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※掲載情報は 2011/7/2 22:12 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
6件表示 (全6件)
ゲスト  投稿日時 2021/10/14 7:22
このお話、ふるさと再生日本の昔ばなし第249回第673話「白ゴマ千そう黒ゴマ千そう」は2017年1月22日日曜日のテレビ放送にあります。
この昔話、演出・絵コンテ・作画・美術(背景)はいとうのりひこさん。
Perenna  投稿日時 2021/10/13 23:43
この昔話は、「ふるさとの民話8・神奈川県の民話」にも収録されています。
「白ゴマ千そう黒ゴマ千そう」〈伝説・小田原市〉という題名です。
「むかし、相模の国の酒匂川が海にそそぐあたりに、正助という正直な男が、ネギを売ってくらしをたてていた。ネギなど売ったところで、たいした金にもならないから、正助はいつもびんぼうであった。」という書き出しで始まっています。
アニメの内容とほぼ同じですが、最後の結末が少しちがいます。
竜宮の王様の娘が大蛇となり、悪い殿さまを絞め殺しますが、そのあと大蛇は、「座敷じゅうをはいまわったあと、大きな松の木をつたって城のそとへで、酒匂川の中へザブンととびこんで、おそろしいすがたを消した」と書かれています。
正助は「うつくしい嫁が、大蛇になって酒匂川にきえていったのを見て、とおくの村へ逃げていき、そこで、やっぱりびんぼうなネギ売りをつづけながら、一生をすごしたそうだ」というオチで終わっています。
アニメでは正助と嫁との純愛が描かれていますが、昔話のほうはとりとめがなく残酷で、正助も浮かばれない、哀れな結末だなと思いました。
たーとも  投稿日時 2016/9/25 22:23
上玉すぎるあげまんの嫁をもらってしまったばかり……
しかし、彼は好んで彼女を選んだわけじゃない。
ごくごく普通のお嫁さんでよかったはず。
似た者同士のお相手さんを嫁にもらいたいね。そういないか。・゜・(ノД`)・゜・。
森島はるか  投稿日時 2015/6/27 3:08
オラ、もう一度 あいてぇ…
マニアック  投稿日時 2011/10/21 20:53
フクハラ作品、ここからが、本格的スタート。
ゲスト  投稿日時 2011/9/23 0:57
オラもう一度会いてぇ
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