九州の長崎の大村に実在したという、トンチの名人「勘作」さんのお話です。ショートストーリーで、4つのトンチ話が1話の中に盛り込まれています。
あらすじ
肥前の大村の日泊(にっぱく)という所に、勘作(かんさく)という足軽がいました。
●細長いお魚の話
ある日、珍しい魚を見たお殿様が、勘作に魚の名前を尋ねました。
勘作はちょっと考えて「キンキラキン」と答えましたが、後日、干し魚になった魚を見て「チンチラチン」と答えました。最初の名前と違うので殿様は腹を立てましたが、勘作は「イカも干せばスルメと名前が変わりますたぃ」とトンチでその場を収めました。
●ウナギ釣りのお話
ある梅雨の日、隣の諌早藩の川にウナギ釣りに行った勘作は、諫早藩のお役人に見つかってしまいました。しかし勘作はすました顔して、「大村藩のウナギがここまで逃げてきたので大村藩のだけ釣って帰ります」と言い、大きいウナギだけ選別して持って帰りました。
●庭石を売るお話
ある日、立派な庭石の所有権を巡って、大村藩と諌早藩の役人同士がケンカとなりました。
勘作は仲裁しようと「この庭石を買い取ると言うのなら、諌早藩に売ってあげても良い」と提案しました。
諌早藩の役人が大喜びでその申し出を快諾しましたが、勘作はすかさず「本当の所有者だったらたとえ1文でも払うはずがない、よってこの庭石は大村藩のものである」と言い、石を大村藩に持って帰りました。
●宝円寺の和尚さんの話
ある年の正月の事、宝円寺の和尚さんがお殿様に挨拶するためお城にやってきました。いつもぶっちょう顔の和尚さんを躍らせる事ができるか?と同僚の侍から持ちかけられた勘作は、火鉢の中でボロ布に火を付けました。
煙がもうもうと上がったところで、「和尚さんの衣が火事だー」と叫びました。驚いた和尚さんは、「あっ右の袖に火が付いた。おっ左のたもとにも火が付いた」という勘作の声に合わせてあっちへ跳ねたりこっちへ跳ねたり。見事、勘作は和尚さんを躍らせる事に成功したのでした。
(紅子※サラ文庫の絵本より 2011-9-2 2:43)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
備考 | 勘右衛門ばなし |
場所について | 大村藩、玖島城跡 |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第30巻-第149話(発刊日:1979年6月5日) |
サラ文庫の絵本より | このおはなしの主人公は、勘作さんというトンチの名人ですが、その名は、おそらく、九州の佐賀、長崎地方などにつたわる「勘右衛門ばなし」からきているのでしょう。勘右衛門は、実在の人物だったといわれており、佐賀県の唐津市には、その墓までのこされているそうです。たいへんなトンチ者で、知恵をはたらかせて人をだますことが多いけれども、ぎゃくにだまされたりすることもあって、にくめない人がらだったとつたえられています。また、唐津地方では、機知にとんでいて、おもしろいことをいったりする人を「勘右衛門さんみたいだ」というそうで、大分の吉四六ばなし、熊本の彦市ばなしなどを同じように、人びとのあいだに、ひろく知られていたようです。(かっこ枠なし) |
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