森羅万象すべてのことに感謝して生きている爺さまが主人公。
どんなことにもいつも手を合わせ、「ありがたやぁ、ありがたやぁ」とつぶやくのが口癖なのです。石につまづいて転んでも、水溜りにはまっても、頭に鳥のフンが落ちても「ありがたやぁ、ありがたやぁ」…で、人呼んで「ありがたやの爺さま」。
ある朝、爺さまが「ありがたやぁ、ありがたやぁ」と朝陽を拝みつつ、井戸で水を汲むと、桶の中に汚れた造り物を発見。持ち帰りきれいに磨くと、それは黄金色のニワトリの置物だった。神棚に供えて「ありがたやぁ、ありがたやぁ」と毎日拝んでいると、そのニワトリの置物は金の卵を産むようになった。
ここでお約束どうり、欲深い隣りの爺さまが登場。「ワシにもその置物を貸してくれ」「あぁ、いいともさ」持ち帰って隣りの爺さまも拝んだが、産み落としたのは何やら黒い粒々。もの凄い異臭に、怒り心頭でありがたやの爺さまを呼び付ける。「何だこれはぁ~っ!こんな置きモン要らんから、とっとと持って帰れぇ~!」「すまんかったのぉ」と爺さまは粒々をも拾い集めて家に帰ったが、実はこれも「不老長寿の丸薬」だったのだ。
(引用:『萬雅堂』便り)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 石崎直義(未来社刊)より |
出典詳細 | 越中の民話 第二集(日本の民話55),石崎直義,未来社,1974年09月30日,原題「有難やの爺さま」,採録地「下新川郡入善町」,話者「奥田新作」 |
このお話の評価 | 6.50 (投票数 2) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧