お爺さんが柴刈りから帰る途中、子狐が木の実をとろうとしていた。お爺さんが木の実をとってやると嬉しそうにしていつまでもお爺さんの後ろ姿を見送っていた。
ある日、お爺さんが町まで出かけて遅くに帰ってくると、先日の子狐が手招きしている。ついていくと、お母さんぎつねのいる家に案内された。お母さんぎつねは息子のお礼にとなにやら汚らしい頭巾をくれた。
翌日お爺さんが薪割りをしていると、懐から頭巾が落ちたので、ためしにそれをかぶってみると、雀の話し声がわかるようになった。これは不思議な頭巾だと言って、それ以来お爺さんはいろいろな動物の話を聞いて楽しんでいた。
そんなある日、木の上で二羽のカラスが話しているのを聞くと、長者の娘の病気が楠の祟りによるものだという。そこでお爺さんは長者の家を訪ね、夜、蔵の中に泊まって、外で楠が話しているのを聞く。それによると、楠が祟っているのは、新しい蔵が楠の腰の上に立っているからだと知る。
翌日そのことを長者に言い、早速蔵をどかすと、娘はすっかり元気になった。喜んだ長者はお爺さんにたくさんの褒美をあげた。お爺さんは狐の好きな油揚げをどっさり買って帰った。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:29 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第5集(DVD第22巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第5巻-第025話(発刊日:1976年8月10日)/童音社BOX絵本_第40巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第025巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第1巻-第02話(発刊日:2005年10月17日)/講談社デラックス版まんが日本昔ばなし第27巻(絵本発刊日:1985年04月15日)/講談社テレビ名作えほん第008巻(発刊日:1977年9月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「沖縄地方の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「岩手県の昔ばなし」 |
講談社のデラックス版絵本より | むかし、人間は自然と一体となって暮らしていました。鳥や木や動物たちもみんな仲間だったのです。鳥のさえずりや木々のざわめきが、何か話し合っているように聞こえるのは、彼らのそうした生活環境から得た実感でしょう。心優しいお爺さんは、キツネに親切にしたお礼に、動物や木のおしゃべりがわかる「きき耳ずきん」を手に入れ、彼らの話から長者の娘を病気から救うという手柄を立てたのでした。生きているのは私たち人間だけではない、木も鳥も、小川さえも、みんな生きているんだということを、あらためて思い知らされます。(岩手地方のお話) |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説には地名の明記はない |
このお話の評価 | 9.13 (投票数 16) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧