昔、江戸は隅田川の今戸(いまど)という所に、働き者の与八という馬方がいました。
ある朝、与八がいつものように馬小屋の様子を見に行くと、身の丈が4尺くらい(約120cm)のカッパが馬のしっぽを引っ張ろうとしていました。与八は大切な馬にいたずらされていると思い、腹を立てながら棍棒を片手に馬小屋に入って行きました。
カッパは与八に追い詰められて、涙を流しながら許しをこいました。「お許しください。意地悪な川魚たちにいじめられ寝場所も奪われてしまい、馬のしっぽで魚を懲らしめる罠を作ろうと思いつきました。悪い事とはわかっていたのですが、馬の毛を盗みに来ました」と、土下座をして謝りました。
与八は、気の弱い小さなカッパを可哀想に思って、馬のしっぽの毛を5.6本ほど抜いてカッパに渡しました。カッパは何度もお礼を言いながら、大喜びで帰っていきました。
しばらくたったある日のこと、馬小屋にきたない袋が置いてありました。中を開けてみると、たくさんの小判が入っていました。与八は「きっと、あのカッパがお礼に持ってきたのだろう」と、元気なカッパの様子を想像しながら、その後も毎日元気に働きましたとさ。
(紅子 2013-12-22 21:17)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 東京のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 東京のむかし話(各県のむかし話),東京むかし話の会,日本標準,1975年09月25日,原題「馬の毛をぬくカッパ」,再話「小松崎進」 |
場所について | 今戸(地図は適当) |
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