No.0167
いぬのひのはなし
犬の碑の話
高ヒット
放送回:0103-B  放送日:1977年10月01日(昭和52年10月01日)
演出:小林三男  文芸:利岡裕子  美術:末永光代  作画:猿山二郎
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あらすじ

京都の民話(未来社,1965年10月10日)に、同タイトル名のお話があり「このお話かもしれない」ということであらすじを書いてみます。

「戒岩寺の白犬は、ようお使いをする。今日も文箱を下げて文殊様や」
「ほんまに利口な犬やな」
宮津の町の人はそういって、戒岩寺の白犬を褒めない者はなかった。

当時、戒岩寺は智恩寺の奥の院と呼ばれ、文殊堂のある智恩寺の住職も兼ねていたが、和尚の足腰が弱ってからは、智恩寺を納所僧に任せ、日々の用向きは手紙で済ませていた。その手紙を運んでいたのが犬のシロだった。元は捨て犬だったが、和尚がかわいがり、いつの間にか和尚の言葉を聞き分けるようになっていた。寺の小僧もいたが、返事を渋ったり、道草を食ったりだったので、和尚も使いを果たすシロを殊の外かわいがっていた。

「シロよ、今日の手紙は返事をもらってくるんやで」と言うと、シロはワンと吠えて尻尾を振り立てた。それを見ては「ええ子や」と和尚が頭をなでてやり、これを見て寺の小僧は「これでは外に羽を伸ばしにも行けんわい」といつも苦々しく眺めていた。そして和尚からは「お前もシロを見習え」「シロの爪の垢でも煎じて飲め」と言われるから、たまったもんではない。今に見てろと思うことしきりだった。

そんなある日、和尚がシロに「急ぎの手紙じゃ、夕方の鐘が鳴る前には帰ってきてくれ」と言って使いに出した。これを盗み聞きした小僧は、シロに一泡吹かせてやろうと、その日は暮れ六つの鐘をいつもより一刻早く撞いた。ゴーン、ゴーン…。その頃、智恩寺の文殊堂にいたシロはこの鐘の音に驚いた。シロは慌てて寺を飛び出して、一目散に走った。そして、寺の庭にいた和尚の元にたどりつくと、シロは鐘の音とともに力尽き、息絶えてしまった。

これには和尚も驚き、「鐘が鳴り終わる前にといったばかりに頑なに守って…」と泣き崩れた。しかし、暮れ六つにはまだ早いことに気付き、鐘堂を見ると、小僧が泣きながら降りてきて「私が悪かった、私が悪かった」と手をついて謝り、悪戯の次第を話した。和尚は「わしがえこひいきをしたばかりに…」と言って、小僧を叱らなかった。そして、小僧とともに墓を立ててシロを弔ってやった。それは今も宮津の犬の碑として伝えられている。

(投稿者: araya 投稿日時 2012年1月21日 5:03 )

※未来社の「犬の碑の話」ではシロのいた寺を「海厳寺」と表記していたが、聞き書きによる誤記と判断できるので、粗筋では伝承が伝わる実在の「戒岩寺」に改めた。また、犬の呼び名が「白犬」「白っこ犬」「白」と一定しなかったので、便宜上から名前をシロとして統一した。


参考URL(1)
http://www.geocities.jp/k_saito_site/doc/suginosue.html
参考URL(2)
http://goo.gl/maps/UgcLt
ナレーション未見のため不明
出典クレジット不明
出典詳細京都の民話(二反長半,未来社)によると、採録地は宮津市との事。舞台は戒岩寺(飼い主)~智恩寺(使い先)。
場所について犬の碑(宮津市杉末)
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地図:犬の碑(宮津市杉末)
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※掲載情報は 2012/1/21 14:37 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2021/3/11 13:47
私がまだ幼稚園のころ、一度見たら忘れられない話で、検索していたらここにヒットしました。

記憶に残っているのは、①使いに行ったお寺の住職に(鐘がなったので)犬が怒ってうなっている場面、②犬が一目さんにお使いから帰ろうとして川でおぼれてしまった場面、③小僧がエンエンと鳴いている場面です。

犬を飼うようになってから、一層この話の良さと犬の人間への愛情のすばらしさに気づかされました。
ゲスト  投稿日時 2018/8/6 14:26
懐かしいです。
また見られたら嬉しいです。
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