昔、働き者だが貧しい母親と男の子が住んでいた。
ある日、母親が男の子に「この世で一番大切なものは何か」と聞いた。男の子は「お金」と答えた。母親は「お金ももちろん大事だが、世の中にはもっと大事なものがある」といった。男の子にはそれが何なのかわからなかった。
やがて母親は病気にかかり亡くなった。亡くなる直前に男の子に「自分が嫁入りした時に持ってきた赤いもが床下にある。それを畑に植えるように」と伝えた。
男の子は畑一面に母親の言った通りに赤いもを植えた。小さい男の子にとっていもの世話は大変だったが、赤いもはぐんぐん育っていった。
やがて赤いもが立派に育ったのを見たときに、男の子は母親が言っていた「世の中にはお金よりもっと大事なものがある」という言葉を思い出した。「おっかぁ、お金より大事なものがわかったぞぉ」と夕日に向かって叫んだ。
そしてその後、この村では赤いもを育てるようになった。
(投稿者: カケス 投稿日時 2012-10-26 22:01 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 山口のむかし話(日本標準刊)より |
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