No.0163
はくちょうのせき
白鳥の関
高ヒット
放送回:0101-A  放送日:1977年09月17日(昭和52年09月17日)
演出:森田浩光  文芸:沖島勲  美術:内田好之(青木稔・仔羊館)  作画:森田浩光
和歌山県 ) 23093hit
あらすじ

昔、紀伊の国の雄の山峠という所に「紀の関」と呼ばれる関所があり、その近くに一人の男が住んでいました。この男は優しいところもある一面で、たいへん気まぐれでもありました。

ある日、男は傷ついていた一羽の白鳥を助けてやりました。するとその夜、男の夢に助けた白鳥が現れ「お礼がしたいので何でも望みを言って下さい」と告げました。男が「可愛くて優しい嫁さんが欲しい」と言うと、数日後、美しい旅の女が現れ、そのまま男の嫁となりました。

働き者で男を大切にしてくれる良い嫁だったので、男は最初は喜んでいましたが、だんだんと傲慢な態度をとるようになりました。嫁は、男のDVにじっと耐えていましたが、その頃に村で流行っていた弓矢が欲しくてたまらなかった男は大声で叫びました。「白鳥さん、もう嫁はいらないから弓矢をくれ」

それを聞いた嫁は、しくしく泣いていましたが、いつの間にかいなくなりそのかわりに立派な弓矢が置いてありました。男は大喜びで、弓矢を持って毎日狩りに出かけましたが、結局一羽の山鳥も仕留める事はできませんでした。

男は再び「白鳥さん、弓矢はもういらないから、白鳥が欲しい」と頼みました。すると、弓矢はたちまち白鳥に姿を変え、男を恨めしそうに見つめてパッと飛び去っていきました。男は大慌てで追いかけ、紀の関を通り抜けようとすると、嫁が関守(関の門番)の姿で出てきました。

嫁は「もうお前の好きなようにはさせない」と言い、白鳥に姿を変えました。嫁や弓矢は、あの時助けた白鳥だったのです。男は驚いて関所から逃げ出し、それ以降、村で男の姿を見た者はいなかったと言うことです。この事があってから、紀の関を「白鳥の関」と呼ぶようになりました。

(紅子 2012-3-10 4:43)


ナレーション市原悦子
出典松谷みよ子(角川書店刊)より
出典詳細動物の世界(日本の民話01),松谷みよ子,角川書店,1973年5年20日,原題「白鳥の関」,伝承地「和歌山県」
場所について雄ノ山峠(地図は適当)
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地図:雄ノ山峠(地図は適当)
追加情報
本の情報サラ文庫まんが日本昔ばなし第28巻-第138話(発刊日:1979年1月30日)
サラ文庫の絵本より絵本巻頭の解説によると「和歌山地方の昔ばなし」
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※掲載情報は 2012/3/10 4:43 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
5件表示 (全5件)
ゲスト  投稿日時 2020/7/18 21:33
白鳥によって呪い殺されたか
運良く生きていたとして、
働きに出ても上司や仕事仲間ともトラブルを起こしては
あっさり辞めてしまい職を転々とする。
努力をしようとしないから生活は苦しくなる・・
最終的には野垂れ死にの結末を迎えたことだろう。
Perenna  投稿日時 2020/7/13 23:19
「今昔物語集」を調べてみたところ、「人妻化成弓後成鳥飛失語」という話を見つけました。(コマ番号310/418)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/945416/7?tocOpened=1

妻を愛していた男がある夜夢を見て、起きてみると枕元に弓が置いてあり、妻が失踪していたそうです。
月日が経って弓が白鳥となって飛び立ち、それを追いかけて紀伊国までたどり着き妻と再会したのですが、妻はまた白鳥となって飛んでいってしまったという話らしいです。
原話はこのように単純なものです。
鶴の恩返し的な要素や男女のキャラクターの造形や関守のエピソードなどが盛り込まれたのは、話者や作者の創意工夫や脚色なのではないでしょうか?
Perenna  投稿日時 2020/7/12 23:00
この昔話と似たような話が、未来社の「紀州の民話」にも収録されています。
「白鳥の妻」という題名です。
「むかし、紀の国と和泉の国の国ざかいの近くに、一人の男が住んでおりました。
うつり気で、ひとつの事が手につかず、いつも貧しいくらしをしておりました。
ところがある時、美しい娘がたずねてきて、「お嫁さんにして下さい」と頼みました。」という出だしで始まっています。
男は最初のころは、妻といっしょに一生懸命働いていましたが、もともとうつり気な性格だったので、だんだん百姓がいやになり、今度は狩りをしてみたくなってきました。
「弓矢がほしいのう」と、畑仕事もせずに思い詰めていました。
ある夜、男は夢を見ましたが、いとしい妻が夢枕に立ってこう言いました。
「長い間、あなたのお側で暮らしてきましたが、遠くへ行かねばならなくなりました。形見として弓矢を置いていきますから、それを私と思って大事にして下さい。」
その後、妻はどこかにいなくなってしまい、男は毎日形見の弓矢を眺めて過ごしていました。
ところがある日、その弓矢が白鳥になって飛び立ち、あとを追いかけた男は、とうとう国ざかいまで来てしまいました。
そこには、なつかしい妻が立っていましたが、一言も男に声をかけることもなく、涙を流しながら白鳥へと姿を変え、どこか遠くへ飛んで行ってしまいました。

原話は「今昔物語」と書かれています。
松谷みよ子の書いた「白鳥の関」も、やはり「今昔物語」をモチーフに創作したものなのでしょうか?
アザヴ  投稿日時 2018/12/23 15:44 | 最終変更
あらすじより
男は驚いて逃げ出しましたが、二度と男の姿を見ることはありませんでした。
二個目の男の所、女じゃないかな?
__
男が失踪して行方不明になったと言う意味です。分かりにくかったので該当箇所を訂正しました。(2018/12/24)
ラメント  投稿日時 2012/12/21 19:48
傲慢で気まぐれな男は最後まで
自分の愚かさに気づかなかったし、
改心する気はひとかけらも無かった。

愚かな男は白鳥に抹殺され
地獄で罰を受けているのです。
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