昔、ある山国にお代官様が住んでいました。このお代官の若君が重い病にかかってしまい、村の百姓たちも心から心配していました。
若君を心配したお代官様や家来達は、みんなで相談して東入(ひがしり)の武尊(ほたか)神社にお願いする事にしました。すると若君の病気はメキメキと良くなり、お代官様達は武尊様へのお礼として、日本一の絵師に描かせた立派な馬の絵馬を奉納しました。
しばらくたった秋の夜、村中の百姓たちの田畑が馬に荒らされる大事件が起こりました。困った百姓たちが夜に見張っていると、立派な馬がどこからか現れ、稲を食い荒らし田畑を駆け回りました。百姓たちが逃げる馬を追いかけていくと、その馬は武尊神社に絵馬の中にスッと入っていきました。
あまりに見事に描かれた馬が、不思議な事に絵馬から抜け出していたのです。そこで、絵馬に手綱を書き足してもらい、馬を杭に縛りつけた絵にしてもらいました。それからは、二度と馬が抜け出す事もなくなり、村は再び平和が戻りました。
(紅子 2011-12-11 14:52)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | おのちゅうこう(未来社刊)より |
出典詳細 | 上州の民話 第一集(日本の民話20),小野忠孝,未来社,1959年06月30日,原題「あばれ絵馬」,採録地「利根郡」,話者「星野吉朗」 |
場所について | 花咲武尊神社(利根郡片品村) |
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