臼杵(うすき)の街で野菜を売り歩いていた吉四六(きっちょむ)さんは、いつも難癖をつけて強引に値切る強欲な老人に辟易(へきえき)していた。
ある日吉四六さんは一計を案じ、生け捕りにしたカラスが入った籠(かご)の上にキジを乗せて「カラスはいらんかねぇ」と売り歩く。
老人は「カラスを買うバカなんているか」と言いつつも格子の間から外を見るとキジが乗った籠を担ぐ吉四六の姿がある。「あいつめ、キジとカラスを勘違いしてやがる」と大喜びの老人。さっそく吉四六を呼びとめ、値切った挙句に10羽を50文で全部買い締めるが、吉四六は「このキジは飾りだから売れん」とカラスが入った籠だけ売った。
「一匹くらいケチケチしたがって」と言う老人だが、籠二つ分のキジ(と思い込んでいた)が安く手に入った事を喜び、いざ籠の蓋を開けると中にはカラスの群れが入っている。「騙したな」と怒る老人だったが、吉四六さんは一言。「ハナっからカラスじゃと言ったじゃねえか」。
してやられた老人は「カアカア、カラスが50文」と言いながら、目を回す。勝手に「吉四六がキジとカラスを間違っている」と思い込んだ老人が懲らしめられる話。
(投稿者: 黒田 投稿日時 2011-11-12 21:07 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 大分の昔ばなし(三丘社刊)より |
場所について | 大分県の臼杵市周辺(地図は適当) |
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