昔、沖縄の竹富島の海に、東の岩(あいのいわ)と西の岩(いるのいわ)という岩がありました。それぞれの岩には男女のネズミが住んでいて、お互いやがては結婚したいと思っていました。
ある時、東の岩の近くを一匹のボラが通りかかりました。東の岩に住む男ネズミは、ボラに頼んで、西の岩に住む女ネズミに自分の思いを伝えてもらう事にしました。ボラが「手ぶらで行くのはマズイのでは?」と言うので、男ネズミは、ネズミの好物である小魚を持って行ってもらうことにしました。
ボラは小魚をたくさん持って、女ネズミの西の岩へ行き、無事に婚礼話をまとめてくれました。しかし、ボラが同じ仲間である小魚を捕った事で、海の中では魚の仲間たちからさんざん責められました。
この時から、ボラはもちろん、他の魚たちも東の岩と西の岩に近寄らなくなりました。岩のネズミ達は、婚約はしたものの、泳げないので海を泳いで渡ることもできず、それぞれの相手の岩を眺めて涙を流す日々を過ごしました。
ついに意を決した男ネズミは、海に飛び込み必死に泳ぎ始めました。途中で沈みかけながらも、ボラの助けもあり、男ネズミはどうにか西の岩までたどり着くことができました。
やっと会うことができたネズミ達は、魚や波の祝福を受けながらめでたく結婚しました。それからは、泳ぎも練習して毎日楽しく過ごしたそうです。
(紅子 2013-9-18 1:17)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 沖縄の伝説(日本標準刊)より |
場所について | みさし海岸の沖合にある、東の岩と西の岩 |
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