昔、ある所に長者さんがいて、ある暑い夏の夜に庭で涼んでいた。庭の岩陰で、持つと空を浮遊できるという不思議なヘラを拾った。
その夜、長者さんの所へ美しい芸者さんに化けたキツネが訪れて、あのヘラを返して欲しいと言った。狐はヘラの代わりに、被ると自分の姿が消えるという「錦の風呂敷」を置いて行った。
長者さんは錦の風呂敷を大変気に入り、ふんどし一丁になって、この風呂敷を頭からかぶって姿を消した。そして女中たちが囲炉裏(いろり)で茄子田楽を焼いているところに潜り込み、目の前で串から茄子を引っこ抜いて見せた。
しかし錦の風呂敷とは、実はただの腰巻で、ふんどし姿の長者さんは最初から丸見えだったのだ。女中たちに大笑いされた長者さんは、結局キツネに騙されたという事でした。
(紅子 2011-11-19 22:26)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 岩手県 |
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