Re: 狐べら

狐べら についてのコメント&レビュー投稿
昔、ある所に長者さんがいて、ある暑い夏の夜に庭で涼んでいた。庭の岩陰で、持つと空を浮遊できるという不思議なヘラを拾った。 その夜、長者さんの所へ美しい芸者さんに化けたキ...…全文を見る

Re: 狐べら

投稿者:日清皿太夫 投稿日時 2021/12/4 15:31
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 江口Dの演出作らしく、忽然と現れたあまりに場違いなれーきーなちゃんねーが狐と承知でもなお下着を気にするとか、うちわで仰ぐと寂しい髪の毛がフワフワ動く芸の細かさに目が行きます。狐がまた大変な役者で、腹の底を絶対悟らせない筋金入りのポーカーフェース。市原悦子さんの演技も相俟って、心の無さまで正確無比と思います。

 No.0548「きつねのボッケ」の類似作品と指摘されれば嗚呼確かに、とも感じてしまいます。同じ東北のお話という事で共通の祖先があるのかも知れない。杉井D=江口Dにとっては師匠の作品なのでオマージュにも見えて来るし。
 ただ本作の製作/放送年代はバブル崩壊の後。『ついでにとんちんかん』のような昭和末期の自粛ムードが蔓延る直前に放送していたギャグアニメを懐かしむ気分がどこかに無いでしょうか。「たとえフィクションでも、底抜けな金持ちを笑い者にして溜飲を下げよう」という性質(江戸時代にも田舎/大都市を問わず在った筈)が非常な実体感を伴って来ます。
 「上級国民」や「親ガチャ」といったイヤな言葉が漂う現代にあっては、最早こんな気の良い金持ちのリアリティの無さこそ狐の術より非現実的。「こんなお調子者のアホがどうやって財産作ったんだ!」などとスレた眼で観てしまいます。「きつねのボッケ」にそのようなガス抜きの誘いは無かったなあ。昭和と平成の性格の違いが、ここにもある。
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