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No.1431
さんじゅうごにちめのやままいり
三十五日目の山参り
高ヒット
放送回:0913-B  放送日:1993年12月11日(平成05年12月11日)
演出:若林常夫  文芸:沖島勲  美術:古宮陽子  作画:若林常夫
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餓鬼達が握り飯で争う間に極楽へ行く話

昔、兵庫県淡路島の辺りでは亡くなった人が遠い極楽へ向かい何日も旅をすると思われていた。貧しい百姓の長助も働きづめだった父親を亡くしたばかりで深く悲しんでいたが、長助の叔父は極楽に着けば生きていた時よりも幸せに暮らせるだろうと長助を慰めた。

叔父に励まされ長助は安心して畑仕事に打ち込めるようになったが、ある夜長助の枕元に極楽に旅立ったはずの父親が現れる。父親は極楽への道を歩いていたのだが、歩き続けてから三十五日目頃にようやく極楽が見えたかと思うと、恐ろしい餓鬼(飢えと乾きに苦しむ亡者)達が食い物をせがみ襲ってくるので引き返してきたのだという。

極楽に辿り着くには餓鬼達の腹を満たすしかないと父親が言うので、早速長助は十三個の握り飯を作ったが霊となった父親にはこの世の物は渡せない。しかし父親が東山寺(とうざんじ)の裏山があの世とこの世に通じている事を思い出し、長助は大急ぎで東山寺に来ると閻魔堂に四つ、六地蔵に六つの握り飯を供え父親の無事を祈った。

そうして長助はいよいよ東山寺の裏山へ上ったが、ここが餓鬼達のいる難所に通じていると思うと恐ろしくなり、長助は後ろ向きになって残り三つの握り飯を坂へ転がした。三つの握り飯は長い坂を転がると、やがて餓鬼達の前に落ちてきた。すると餓鬼達が握り飯の奪い合いを始めたため、その隙に父親は餓鬼達の前を通り抜け無事極楽へ行く事ができたのであった。

長助がこの出来事を叔父に話すと、叔父もそれはぜひ村人達にも伝えるべきだと喜んだ。この事があってから淡路島では三十五日目の法要の際、親戚一同で寺にお参りした後持ってきた十三個の握り飯のうち四つは閻魔堂に、六つは六地蔵に、残った三つは紙に包んで東山寺の裏山から後ろ向きに転がし、振り返らずに帰る習わしとなった。この三つの握り飯を餓鬼達が追いかけているうちに、亡くなった人達は無事この難所を通り抜ける事ができると言われている。

(投稿者: お伽切草  投稿日時 2012-11-18 16:23 )


参考URL(1)
http://maruasa.blog49.fc2.com/blog-entry-332.html
参考URL(2)
http://janjan.voicejapan.org/area/0602/0602209617/1.php
ナレーション市原悦子
出典兵庫の昔ばなし(三丘社刊)より
出典詳細里の語りべ聞き書き 第14巻,川内彩友美,三丘社,1993年06月14日,原題「淡路の三十五日目の山参り」
DVD情報DVD-BOX第12集(DVD第56巻)
場所について東山寺(とうさんじ)
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地図:東山寺(とうさんじ)
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※掲載情報は 2012/11/18 17:59 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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淡路瓦 ステ丸  投稿日時 2019/12/22 1:32
父や母や親戚の四十九の法事にさいして、東三寺に登りました。おにぎりを転がすには、高い山ほどいいと言われています。地元の東三寺は、小学校の遠足で何時間もかけて山を登った思い出があるります。今では、車で行くので苦になりません。淡路で唯一の尼寺で、高野山のお寺から尼さをが来られ格式の高いお寺だとお聞きしました。お寺には、階段が少なくご高齢の方でもおにぎりを転がす所に行きやすかったです。お参りの後ビデオを視聴し、三十五日目の山参りの意味を正しく教わりました。淡路のほかあにも、山参りの習慣はないのでしょうかね!
頭方  投稿日時 2018/11/30 10:34
大笑い男、長介の叔父役で登場。ちなみに原作では叔父さんは普通の人で、長介には兄弟が沢山いるという話でした。
マルコ  投稿日時 2013/2/25 14:54
質問なのですが、このお話の東山寺の裏山って本当にあの世とつながっていそうな不気味な山なのでしょうか?それから、投げ捨てたおにぎりはどうしているのですか?そのまま放置ですか?それとも、誰かが片付けてくれるのでしょうか?

ここのお寺は、お坊様たちが大変に優しくて、「まんが日本昔ばなしを見てきました!!」って話すと、色々と親切に質問に答えてくれたり、このお話のビデオを見せてくれる。って聞いたことがありましたけど、本当だったのですね!!
全国的に見ても興味深い淡路島の風習をこれからも大事にしていってくださいね!!
淡路者  投稿日時 2013/2/24 18:34
今日、父の三十五日で東山寺に登り、おにぎりを投げてきました。
昔ばなしの通り、後ろ向きに放って、振り返らずに本堂まで戻って、そのあと熱いお茶をいただきながらこのビデオを拝見しました。
寺の尼様が見せてくださったのです。
この作品のことは聞いていたので、みたいと思っていたので、うれしかったです。
今までもおにぎり投げはしてましたが、由来がよくわかりました。島の風習を大事に守りたいですね。
そして父が無事に極楽にいけますように、願って止みません。
マニアック  投稿日時 2011/11/14 20:03
長介がこんなに真剣なのに、大笑い男ときたら。詳しくは来年のDVDにて・・・
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