昔、鳥取の海田に、貧乏な伍作(ごさく)という男が住んでいました。働き者の伍作は、山に畑を作ろうと牛のアカと一緒に一生懸命働きました。荒れ地を切り開くには、人間一人の力ではどうにもならないので、伍作はアカの力を頼りにしていました。
ある春の事、今日も山の畑で仕事をしていると、どこからか子ギツネがやってきてアカと一緒に遊び始めました。アカも子ギツネが気に入った様子だったので、伍作はそのまま二匹を遊ばせておくことにしました。本当はアカに手伝ってもらいたかったのですが、まぁ仕方ないかと思いつつ、「大事なアカを貸してあげるんだから、今度カモでも持ってこいや」と、何の気なしに子ぎつねに声をかけました。
その夜、疲れですっかり寝込んでいた伍作の家に、子ぎつねがやってきました。疲れて眠たい伍作は子ぎつねを追い返しましたが、朝になって家の外をみると、太ったカモが一羽置いてありました。子ぎつねが伍作の言葉を真に受けて、カモを捕えて持ってきてくれたのです。
伍作は、無下に追い返したのはちょっと可哀そうだったなぁ、と呟き、また今度遊びに来たらアカと遊ばさせてあげようと思いました。でもその後は子ぎつねはやって来ず、ちょっと寂しいと思いながらも、伍作とアカは畑作りに精を出しました。
(紅子 2012-1-3 20:57)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 鳥取県 |
場所について | 鳥取の海田の麓(地図は適当) |
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