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No.1289
ふえふきぬまとじゃばみ
笛吹沼と蛇喰見

放送回:0815-B  放送日:1991年09月28日(平成03年09月28日)
演出:小林治  文芸:沖島勲  美術:黒田聡  作画:市来剛
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沼の主に魅入られてしまった哀れな侍の話

昔、出羽の国の庄内へ一人の若侍が大事な手紙を持って清水城へ届けに行く途中のことです。山を超え最上川を見下ろしながら下っていると美しい沼が見えてきました。若侍は、休憩がてらに一曲吹くことにしました。

一曲吹き終わる頃、若侍の目の前に美しい娘がいました。娘は足首だけをつけた状態で水の上に立っているのです。娘は「もうしばし笛を吹いて欲しい」と懇願しましたが、ぞっとした若侍は「帰りにもう一度沼に寄って笛を吹くから」と、慌てて出発しました。

若侍はその日のうちに用を済ませ、清水城下で一泊したあと乗合船で帰路につきました。最上川を順調に船は進んでいましたが、蛇喰見(じゃばみ)淵まできたところでどうしたことか船はピタリと止まってしまいました。

船頭は「主に魅入られた者がいるので、判別するために大切なものを一つ川へ投げ込んでくれ」と客たちに言いました。若侍が大切な笛を川へ投げ入れると、笛は垂直に立って船の周りを回り始め、若侍の前でぴたっと止まってしまいました。

若侍は逃れることは出来ないのだと観念すると、その場で船をおりました。若侍は川に沈むことなく足首を水につけたまま立つことができ、船の客たちに少し悲しそうな顔をすると、導くように進む笛のあとをスタスタと歩いて沼の方へ消えていきました。

船頭達は呆然としましたが、船は何事もなかったかのように動き始めました。「蛇喰見というのは、千年生きておる雌のウワバミのことじゃ」船頭はぽつりと呟くようにいうと、その場をあとにしました。

それからというもの、月の綺麗な晩になるとあの沼の底から悲しげな笛の音が聞こえるようになり、「笛吹沼」と呼ばれるようになりました。そして船が止まってしまった淵のあたりには、人は近づかないようになったということです。

(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-8-7 1:55 )


ナレーション市原悦子
出典山形県
場所について新庄市畑(この辺が笛吹沼か?)
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地図:新庄市畑(この辺が笛吹沼か?)
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※掲載情報は 2012/8/7 2:35 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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猫  投稿日時 2021/4/30 20:22
怖いような悲しいような…なんともいえない独特の雰囲気を放つ小林さんにしかできないような不思議なお話でした。下唇おじさんがでてきても笑えるような部分はひとつもありませんね(笑)
沼の主に魅入られるってとても恐ろしいことですね。
もう逃れることはできないのだと観念し、素直に川に飛び込んだ侍の勇気に関心しました。川に飛び込んだ時点でもう自分の意志とは関係なく体が動いてしまうのでしょう。怖いです。
もんたさんの仰るように、本当に不思議なお話ですね。
もんた  投稿日時 2020/2/1 19:49
こんなに不思議な話があるなんて。人間やめられません。
頭方  投稿日時 2018/11/30 10:13
下唇おじさん、村人達の一人として登場。今観ても、何か切ない話だと思います。
ゲスト  投稿日時 2017/12/23 15:08
笛吹沼はもう存在していません。(現在の作の巻地区と桂地区の間にあった沼とされています。)
おっしゃられてる沼は、材木沼と言われ、違う昔話(1晩でお城を作るなければいけないのに、天の邪鬼がさ邪魔をして…という話)で登場する沼だと思います。
大蔵村の教育委員会に問い合わせればわかるはずです。
また新庄市に畑地区も現存しています。
マルコ  投稿日時 2012/12/25 21:35
紅子さん!!「笛吹沼」場所の訂正をしてくれてありがとうございます!!
マルコの説明が悪かったばっかりに、お手数をおかけして本当にすいませんでした・・・。

また、新しい情報を仕入れたらお知らせするので、よろしくお願いします!!
マルコ  投稿日時 2012/12/25 21:27
「笛吹沼」の詳しい情報をありがとうございます。
arayaさんも「笛吹沼」について、よく知っているんですね!!
また、マルコの知らない情報を教えてくださいね!!

マルコ  投稿日時 2012/12/25 21:19
もみじさんに喜んでもらって本当によかったです・・・。以前、栃木県の昔ばなしのあらすじを書いていただいた御恩があったので、いつか何らかの形でお礼をしようと思っていたものですから・・・。
もみじさんが「笛吹沼」について知りたがっていたので、今回このような形でご報告をさせていだたきました。
・・・いつもいつも、マルコの話を聞いてくれてありがとうごさいます。もみじさんがちょっと話を聞いて答えてくれるだけで、マルコは本当にうれしいのです・・・。

見失ってはいけない、小さく見える幸せほど、大きな幸せはない・・・っていう事に気付けたような気がしますね・・・。何か、照れくさいですね・・・。
もみじ  投稿日時 2012/12/25 1:35
マルコさん、すごいです!(*´∀`*)

おおまかな場所特定ができたのですね!(・∀・)
新庄市のサイトにもきちんと載っていなかったものを調べるのは
とても大変だったと思います。お疲れさまでした!ヽ(・∀・)ノ

私の微妙な情報が場所特定に役に立っていたなら良かったです(・ω・)♪
araya  投稿日時 2012/12/25 1:28
紅子さん
マルコさんの補足として、一応アップしておきます♪

下記に「笛吹き沼」の伝承が紹介されており、庄内市の畑村(恐らくは「畑」部落を指す)の話とのこと。
http://www.thr.mlit.go.jp/yamagata/river/enc/genre/02-reki/reki0207_005.html
また、下記の国土地理院の地図から畑部落の位置を見ると、蛇行する最上川沿いに確かにあり、「畑」の文字の下の神社のさらに下に、大きな沼の存在が確認できること。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=140.20765158255&latitude=38.72303579571

マルコさんの指摘する場所でよろしいかと思います。
マルコ  投稿日時 2012/12/24 23:15
ええっと・・・紅子さんが印をつけてくれた場所から東へ行ったところに「へ」の字のような
池がありますよね。30の番号の右のところにある池がおそらく「笛吹沼」?です。
マルコも「この池が『笛吹沼』だ!!」と言い切れないのですが・・・。訂正をお願いします。
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