昔々、ある山奥の村に、とても貧しいおじいさんとおばあさんが暮らしていました。おばあさんは糸を紡ぎ、おじいさんは竹かごを作っていました。
ある日、いつものように二人が仕事に励んでいると、やっと空を飛べるようになったばかりの小雀が、翼をけがして落ちてきました。「とんびにでもやられてしまったのだろう」と考えたおじいさんとおばあさんは、小雀の手当てをすることにしました。
弱った小雀に二人は、ままつぶ(米粒)を食べさせて看病しました。貧しい二人が、年に一度の夏祭りのために大事に取っておいたお米です。それでも二人は、弱っている時は米粒を食べさせるのが良いだろうと思い、なけなしのお米を与えたのです。
二人の看病の甲斐があり、小雀は日に日に元気になっていきました。ある日小雀の父雀・母雀が小雀を迎えに来ました。おじいさんとおばあさんは小雀を送り出しましたが、何やらさびしくも感じるのでした。
それから何日か経ったある日、親子の雀はおじいさんとおばあさんのところへ遊びにやってきました。そして小雀は1粒の種を置いていきました。そこで二人は、早速それを家の畑へ植えてみましました。
雀のくれたものはひょうたんの種でした。竹垣を伝ってどんどん大きくなっていき、たくさんの実をつけました。その中にひときわ大きいひょうたんがあり、おじいさんはこの大きいひょうたんで、ひょうたん徳利を作ることにしました。
するとある晩のこと。おじいさんとおばあさんが眠っていると、何やら音がします。軒先に吊るしてある、ひょうたん徳利からその音は聞こえてきます。おじいさんが恐る恐るひょうたんを手に取ってみると、何とひょうたんから米粒がたくさん吹き出してきました。
翌朝、おじいさんとおばあさんは久しぶりにお米のご飯を食べました。それは本当においしいお米でした。それからもひょうたんからは米が出続けて、二人がいくら食べても、米がなくなることはありませんでした。おかげで二人は、前にもまして元気に働いたということです。
(投稿者:カケス 投稿日時 2014/3/8 19:55)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 杉原丈夫(未来社刊)より |
出典詳細 | 越前の民話 第一集(日本の民話44),杉原丈夫、石崎直義,未来社,1968年04月30日,原題「ひょうたんの種」,採録地「大飯郡」,話者「山口久三」 |
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