宮古島のある漁村で、ひとりの漁師が船を出す為に潮待ちをしていると、漁場の近くにある大岩のてっぺんにある穴に、スズメの群れが粟の穂を口に咥えて出入りしているのを見つけた。
幾日も同じ光景が見られたある日、漁師はスズメ達が何をしているのか気になり、大岩のてっぺんによじ登って見た。すると、穴の奥に水がたまっており、スズメ達がその水を飲んではふらふらと飛んでいるのであった。漁師がスズメの飲んでいる水を指ですくって舐めて見ると、甘酸っぱいような何とも良い味がする。木の葉ですくっては飲み、すくっては飲みしている内に、漁師もすっかり良い気分になってしまった。
漁師はそれ以後、その美味しい水の事が頭から離れなくなったが、ふと「スズメでも作れるのだから、俺にも作れるんじゃなかろうか」と思い立ち、粟の穂をどっさり集めて臼で突き、水をたっぷり注いで、その水をすくって飲んでみた。が、水は少しも美味しくなかった。
がっかりした漁師はそれっきり水の事を忘れていたが、それから幾日か後、家に戻って見ると臼の中の水が良い匂いを放っている。「さては!」と漁師が水をすくって飲んでみると、まさしくあの日大岩の上で飲んだ水の味であった。
漁師はこの美味しい水を早速村の仲間にも振る舞った。その後、この美味しい水は家々で作られるようになり、この美味しい水を仲立ちにして、村人同志が宴に呼んだり呼ばれたり、互いにうち解けて仲良く暮らすようになった。
これが沖縄の地酒「泡盛」のそもそもの起こりであるそうな。
(投稿者: 熊猫堂 投稿日時 2012-11-4 1:06 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | クレジット不明 |
場所について | 宮古島(地図は適当) |
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