No.1243
かめにあたま
瓶に頭

放送回:0785-A  放送日:1991年02月23日(平成03年02月23日)
演出:若林忠生  文芸:沖島勲  美術:渡辺由美  作画:若林忠生
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あらすじ

昔、大喰らいで働き者の長兵衛という男が、年老いた母親と二人で暮らしていました。

ある秋の日、縁あって隣村から嫁がやってきました。初めての嫁の里帰りの時に、長兵衛も嫁の実家に呼ばれることになりました。その際、母親が長兵衛に「嫁の父親に嫌われるかもしれないから、あまりガツガツと食べるなよ」と、忠告しました。

嫁の実家に着いた長兵衛は、座敷で義父と向き合わせで座っていました。不意に義父が「婿殿はどんな奴が嫌いか?」と聞いたものだから、長兵衛はついうっかり「大喰らいが嫌いだ」と答えてしまいました。義父も「ワシは臆病者が嫌いだ」と答えました。

やがて、嫁と義母がそれはそれは美味しそうなご馳走を次々に運んできました。長兵衛は本当はたくさん食べたかったのですが、先ほどの事もあるし母親からの忠告もあるし、グッと食べるのを我慢しました。

でも、好物の掻い餅(かいもち)が出てきた時に、我慢できなくなった長兵衛は、こっそり餅を着物の袖の中に忍ばせました。

その晩、皆がぐっすりと寝静まった頃に、台所で何か不審な物音がしました。怖々と義父が様子を見に行くと、瓶をかぶった不審者がよたよたと歩いていました。

本当は臆病者だった義父は、その様子を見てすっかり腰を抜かしてしまいました。でもその正体は、頭に瓶をかぶった長兵衛で、袖の中の餅を瓶の中に隠し夜中こっそり食べていた所、瓶から頭が抜けなくなっていたのでした。

二人は、お互いの秘密がばれておかげですっかり打ち解けて、今夜の事は二人だけの秘密にする事にしました。しかし翌朝になってみると、昨晩の事は義母にも嫁さんにもすっかりばれていました。

こうして初めての嫁の里帰りは無事に終わりましたが、嫁の実家での出来事により長兵衛と嫁の心は解け合い、いつまでも仲良く過ごしたそうです。

(紅子 2013-11-2 1:12)


ナレーション市原悦子
出典岐阜県
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※掲載情報は 2013/11/2 1:12 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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吉兵衛どん  投稿日時 2021/11/23 19:10
「おら本当は大食らいなんじゃ」より先に「瓶を割ってしまってすみませんでした」だろwww
猫  投稿日時 2021/3/28 22:46
とてもほのぼのするよいお話でした。長兵衛とお義父さんとの距離が縮まってよかったですね。
ゲスト  投稿日時 2015/7/1 11:35
トメ子とバカ婿(とめことばかむこ)
嫁をもらったバカ婿が正月婿礼に行くと、出された甘酒があまりにもおいしく、もっと飲みたいが遠慮した。
夜甘酒が飲みたくて眠られず、瓶に入った甘粕を瓶ごと傾けて全部飲むと、瓶が頭に被さって取れなくなりそのまま便所に隠れた。朝親方が便所に来て、石で尻を拭い、捨てたら婿の瓶に当たり、瓶が割れてばれた。互いに恥だから誰にも言わないようにと約束したが、次の日宴会で親方が「鶴かめー」と歌ったら婿が「親方石で尻拭った」と言い、どちらも化けの皮がはがれた。

秋田の昔話・伝説・世間話 (地域・現地名:由利本荘市松ヶ崎 )
http://namahage.is.akita-u.ac.jp/monogatari/show_detail.php?serial_no=6389
ゲスト  投稿日時 2015/7/1 11:28
からかさと瓶(かめ)と石 (八王子 中村ヒロ)

 昔あったげだ。秋山の人が十日町から嫁もろうたと。ちょうど雨降りだったんだんが、からかささして来たと。秋山の家の衆は、からかさなんて初めて見たんだんが
 「さあおおごっだ。あっげのごうぎのがんさして、家の中へ入らんね」
というで、大さわぎして戸をはずしたりしたと。ほうしたら、嫁は、家へはいるとき、そのからかさをひょこんとしょごめたと。
 「町てや、なったらおかしなもんがあるがだい」
というて、秋山の衆はいんなたまげてしもうたと。
 十日町で祝言(しゅうげん)のあった晩、夕飯に出された砂糖(さとう)ぼたもちがうまくて、聟はどうろ食ったと。まだ食いたくておごっだんだんが、家の衆がぼたもち入れた瓶(かめ)をどこへしもうやらと見ていたら、戸棚(とだな)にしもうたと。夜さるになって、いんな寝てから、戸棚を開けて瓶出して食ったら、うまかったんだんが、瓶の中に頭つっこんで食っていたと。ほうしたら、こっだ頭出そうとしても出さんねなったと。おごとだんだんが、瓶かぶって便所の隅に隠れていたと。
ほうしたら、そこへ祝言によばれたお客が来て、便所へ入ったろも、紙がなくて、石でけつ拭(ぬぐ)うてそれをぽんとぶちゃったら、ちょうど瓶にあたって、瓶が割れたと。その下に聟が隠れていたんだんが、客はたまげて
 「おめえさんまた、どうしてそっげのどこへいるがだい」
ときいたと。聟は、
 「ぼたもちが食いたくて戸棚捜したら、瓶の中に入っていて、食ってみたらあんまるうまくてうまくて。瓶の中に頭つっこんで食っていたら、頭が出さんねなってしもうて」
というたと。ほうして、二人は、聟がぼたもち盗み食いしたことと、客が石でけつ拭うたことを決して話さないしようときめたと。
 次の朝げ、祝言の席で、そのお客が、「つるかめ」と唄をうとうたんだん
が、聟は、
 「瓶のこというと、石のこともいうぞ」
というたと。これでいちがさらーんとさけた。

新潟県の民話
http://goze.holy.jp/mukasi/ookamitaiji/26.html
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