昔、新潟県名立村の平谷に神社があった。
村の子供たちは毎日、神社の境内で楽しく遊んでおった。ある日のこと、村の子供たちはかくれんぼをしていて、鬼になった権太がかくれている子供たちを探そうと、いつもは閉じている神社の社の扉を開けた。
するとさらに扉があった。権太がそれを開けると、そこには古ぼけた汚れたご神体があった。 権太はご神体を持ち出し、他の子供たちにも見せた。そして汚れたご神体を洗おうと、みんなで近くの川にやって来た。
一生懸命洗ったので、ご神体はすっかりきれいになった。子供たちが喜んでいるところへ、勘助じいさんが通りかかった。勘助じいさんはこどもたちがご神体で遊んでいることに気が付き、ご神体を子供たちから取り上げ、「この罰当たりめ」ときつくしかった。そしてご神体を神社の元の位置に戻して、帰って行った。
翌日、あんなに元気な勘助じいさんは体が動かなくなり、布団から出られなくなってしまった。そこへ一匹の犬が入ってきた。犬は寝ている勘助じいさんの上に乗っかると、「罰当たりはお前だ。神様は子供が大好きで、子供と遊ぶのが楽しいのだ。それを取り上げたおまえに、神様はお怒りになっている」と言って去って行った。
しばらくすると、勘助じいさんは体が動くようになり、元の元気なじいさんに戻った。
それからは村人たちは子供たちが神社の境内で遊んでいるのを見ると、「神様が子供たちとあそんでいなさる。どうぞ子供たちをお守りください」と言って、決して子供たちが遊ぶのを邪魔しなかったそうである。
(投稿者:カケス 投稿日時 2014/2/11 20:22)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 新潟県 |
場所について | 上越市名立区平谷(地図は適当) |
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