昔、岡山のある村に、冬でも汗をかく不思議なお地蔵様がいました。
ある年の夏、この辺りはひどい日照りに見舞われ、田んぼもすっかり枯れ果ててしまいました。そんな時、汗を拭いてあげていたお婆さんは、ふとひらめいてお地蔵様の足から石のカケラを2つ削り取り、干上がった井戸と池に投げ込んでみました。すると大量の水が噴き出し、田んぼにどんどん水が流れ込み、村は日照りから救われました。
翌年の春、花見にやってきた殿様が、汗かき地蔵様の不思議な話を聞きました。殿様は、このお地蔵様を使って自然と水がわき出る「手洗い鉢」を作ることを思いつきました。嫌がる石工をむりやり連れて来て、お地蔵様の首を落とし体をくりぬかせると、大きな水柱があがりました。
ご満悦の殿様は、この不思議な手洗い鉢を諸国の殿様たちに見せびらかそうと、船に乗せて江戸へ出発しました。しかし殿様の乗った千石船は、遠州灘に差し掛かった辺りで、強風にあおられ海の底に沈んでしまいました。
首だけになった汗かき地蔵様は村に戻り、後に殿様の子孫が償いとして送った身代わり地蔵とともに、村人たちに一層大切にされました。
(紅子 2011-10-23 3:25)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
場所について | 岡山のある村 |
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