富山県小矢部というところの、峰村(みねむら)でのお話。この村には大きな一本の杉の木があり、子供が大好きな天狗が住んでいた。
この村の夫婦は喧嘩が激しく、子供たちも不安になり悲しい思いをしていた。天狗は子供たちがかわいそうになり、こっそり仏壇の鐘をチーンと鳴らし念仏を唱えた。誰もいない所から鐘の音がするので、気になってとりあえず夫婦喧嘩は収まった。
しかし毎晩のようにあちこちで夫婦喧嘩が始まるので、天狗はもうくたくたになり逃げる時に姿を消しそこなって、障子に長い鼻の影が映ってしまった。それを見た村の者は、天狗が心配してくれている事に気が付き、もう喧嘩をしないようにお互いに気遣うようになった。
こうして峰村には笑いが絶えなくなり、この天狗の事を念仏天狗と呼ぶようになった。天狗の一本杉にも、多くの子供たちが遊びに来るようになり、毎日を楽しく過ごした。
(紅子 2011-2-11 22:30)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 富山県 |
VHS情報 | VHS-BOX第6集(VHS第52巻) |
場所について | 富山県の小矢部(おやべ)の峰村 |
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