八丈島の民話(未来社,1965年08月15日)に、同タイトル名のお話があり「このお話かもしれない」ということであらすじを書いてみます。
昔の話。やまんばァという化け物が山奥の椎の森に住んでいた。村人が森近くのサツマイモ畑に芋掘りに行くと、やまんばァが知らないうちに手伝ってくれていて、籠を芋で一杯にしてくれた。
村人がそれに気付いて、「おかげで助かります」と言うと、やまんばァは「イヒヒ…イヒヒ…」と笑って答えた。また、薪拾いに行くと、これを手伝ってくれて、「われと遊んでくれ」と言った。村人はやまんばァと親しくなっていたので、少しも怖がらずに、いつも遊び相手になってやった。
時々、やまんばァは十七十八の美しい娘に化け、村人と羽根つきをして遊ぶこともあった。やまんばァは「ソリャ、チイリャア。ソリャ、タマヨシ…」と囃して玉をつき、羽根つきの後で必ず「これはお土産じゃ」と言って、村人の籠に椎茸や山ブドウなどをいっぱい入れてくれた。
時には、竹の葉で作った船に乗って、山からたくさんのカツオを釣ってくることもあった。やまんばァは「ホウベイ。ホウベイ…」と言いながらカツオを互い違いに重ねると、村人に下から欲しいだけ抜かせた。しかし、村人が上から抜くと、どういうわけか、やまんばァは怒っていた。
また、天候が悪いため、村人が何日も山に行かない時には、寂しくなったのか、やまんばァを山を下りてきて、寝ている村人の枕元に座り、村人の顔に「フウ、フウ…」と息を吹きかけていた。村人が驚いて目を覚まし、手を伸ばしてやまんばァに触れてやると、やまんばァはうれしそうに「イヒヒ、イヒヒ…」と笑って椎の森へと帰っていった。
その後も、やまんばァと村人は親しいつきあいを続けていたが、いつ頃からか、馴れ馴れしくなった村人が「椎茸をくれ」「山ブドウをくれ」「カツオをくれ」と無理な注文をしつこくするようになった。それに愛想を尽かしたのか、村人がやまんばァのいる椎の森近くに行っても、やまんばァは姿を見せることをしなくなったとさ。
(投稿者: araya 投稿日時 2012-5-8 21:54 )
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
出典詳細 | 八丈島の民話(浅沼良次,未来社,1965年08月15日)かもしれない。他に「里の語りべ聞き書き」第08巻にも同タイトルがある。 |
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